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経口抗菌剤「オゼックス®細粒小児用」が小児肺炎マイコプラズマ感染症で適応追加承認

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富士フイルムグループの富山化学工業株式会社(本社:東京都新宿区西新宿)は3月2日、ニューキノロン系経口抗菌製剤「オゼックス®細粒小児用15%」(一般名:トスフロキサシントシル酸塩水和物)について、適応菌種に「肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)」を追加する承認を取得したと発表しました。


オゼックス細粒小児用15%
小児用に適応追加承認を取得した「オゼックス®細粒小児用15%」


現在、マイコプラズマ肺炎の治療には、マクロライド系抗菌薬が一般的に使用されていますが、近年、マクロライド系抗菌薬への耐性菌が増加している。

その為、日本小児感染症学会、日本感染症学会、及び日本小児科学会より、厚生労働大臣等に対して、「小児の肺炎マイコプラズマ感染症におけるキノロン系抗菌薬の適応拡大に関する要望書」が提出されていました。

また「オゼックス®細粒小児用15%」は、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011追補」において、マクロライド系抗菌薬への耐性を持った「肺炎マイコプラズマ」感染時の治療の選択肢とされている。
これらの状況を受けて、富山化学工業は適応菌種追加のための開発を進め、今回の追加承認を取得した。



【肺炎マイコプラズマについて】

肺炎の中でも、「肺炎マイコプラズマ」が原因菌のマイコプラズマ肺炎は、気管支や肺胞の外部の間質に炎症を引き起こし、小児や若い人の肺炎の原因としては比較的多く、発熱や咳が長引くなどの症状が出る、患者の約80%は14歳以下です。


肺炎マイコプラズマ電子顕微鏡写真

マイコプラズマ肺炎は、抗菌薬(抗生物質)によって治療しますが、効果のある抗菌薬は一部に限られています。また近年、通常使用される抗菌薬に耐性を示す『薬剤耐性菌』が増えて来ているとされる。



『~2016年11月、マイコプラズマ肺炎、過去10年で最多の報告数~』
こんなニュースが駆け巡った‥‥



2016年末マイコプラズマ肺炎流行ニュース
2016年末マイコプラズマ肺炎流行ニュース2
2016年末マイコプラズマ肺炎流行ニュース3


元々、「オゼックス®錠」は、富山化学が1990年より経口剤(錠剤)として販売している既存薬でしたが、薬剤耐性菌の増加により、小児用の「肺炎マイコプラズマ」適応の抗菌製剤が望まれていました。

極端な異形肺炎マイコプラズマ
極度の変異形肺炎マイコプラズマ
(電子顕微鏡写真2万460倍+染色)


これまでも要望に応える形で「オゼックス®錠」は、小児用として小児の肺炎、中耳炎に適応を有する国内初の小児用ニューキノロン系経口抗菌製剤として、2009年に製造販売承認を取得し、2010年より大正富山医薬品株式会社(本社:東京都豊島区)から販売を行っていました。



今回の適応菌種追加により、マイコプラズマ肺炎の小児に対して、「オゼックス®細粒小児用15%」の投与が可能となりました。

<製品概要>

【販売名】:オゼックス®細粒小児用15%
【一般名】:トスフロキサシントシル酸塩水和物

【効能又は効果】
 <適応菌種>
トスフロキサシンに感性の肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ=新適応)

 <適応症>
肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽

【用法及び用量】
 通常、小児に対してはトスフロキサシントシル酸塩水和物として、1回6mg/kg (トスフロキサシンとして4.1 mg/kg) を1日2回経口投与する(=新規修正)
但し、1回180mg、1日360mg(トスフロキサシンとして1回122.4mg、1日244.8mg)を超えない事とする。




これまで「オゼックス®細粒」は、インフルエンザ様肺炎、もしくは気管支炎で小児に多用されて来た経緯があります。
ほかにも使える薬剤があるのに、小児用抗生物質と言う事で、頻繁に処方された結果、「肺炎マイコプラズマ」に薬剤耐性菌が現れる一方で、インフルエンザ様肺炎、もしくは気管支炎でも感染菌類に薬剤耐性が生じてしまっています。


咳や発熱で苦しがっているお子さんを、早く治してあげたいと言う母親の気持ちと、これに対応しようと医師が安易に強力な抗菌剤(抗生物質)を処方したがる傾向は、今に始まった事ではありませんが、小児に強い抗菌剤(抗生物質)を投与する事は、腸内の有用な菌類も、一緒に死滅させてしまいます。

これは決して好ましい事ではありません。

これからは感染菌の特定と遺伝子検査による病原菌種の特定によって、薬剤の乱用を防ぐ必要があります。

それには検査技術の進歩と、万が一、「薬剤耐性菌」が拡散した時、使える薬剤を一つでも残しておく事が、異形菌への最後の切り札となるでしょう。


新しい抗菌薬は、容易に造り出す事が困難になっているのです。







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