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抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ」肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がんで追加承認取得

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MSD株式会社(本社:東京都千代田区九段北)は、2017年2月15日に国内発売を開始した、“ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(抗PD-1抗体)”「キイトルーダ®点滴静注20mgおよび100mg(一般名:ペムブロリズマブ=遺伝子組換え)」について、2017年12月25日、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」に対する効能・効果を追加する、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表しました。

また、これに先立ち2017年11月30日には、「再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫」でも承認を取得しており、今回の尿路上皮がんの適応追加承認で、4つの悪性腫瘍に対する新たな治療選択肢が、患者に提供される事になります。



キイトルーダ点滴静注
抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®(keytruda®)点滴静注20mg及び100mg」

ペタしてね鳥


尿路上皮がんは、尿路上皮から生じる悪性腫瘍の総称で、“膀胱がん”、“腎盂がん”、“尿管がん”および“尿道がん”を含みますが、尿路上皮がんの中でも“膀胱がん”の占める割合が約95%となっています(昭和学士会誌,2016井上克己 他108-115)。

膀胱の構造と尿路上皮がん発症部位
尿路上皮がん発症部位と膀胱の構造。


日本での膀胱がんの推定総患者数(有病者数)は約6万6,000人(厚生労働省 2014年患者調査)。
2015年の推定新規患者数(罹患者数)は約2万1,000人(がんの統計編集委員会 がんの統計 2015年版)で、罹患率は増加の一途をたどっています(国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より)。


膀胱がん_尿路上皮がん
尿路上皮がん(膀胱がん)の深達度。

筋層非浸潤性の表在性膀胱がんの場合は致命的になる事は稀です。
しかし尿路上皮がん、及び膀胱がんは、膀胱内に多発し、何度も再発する事が特徴ですので、定期的に膀胱内を観察する必要があります。

根治切除不能な尿路上皮がんに対しては、全身化学療法が標準療法として行われています(日本泌尿器学会, 膀胱癌診療ガイドライン2015年版)。
しかし、既存治療後に増悪した場合の選択肢は限られていましたが、今回の「キイトルーダ®」の効能・効果の追加により、治療の選択肢が広がる事になります。



「キイトルーダ®(keytruda®)」は、2016年9月28日、最初に「根治切除不能な悪性黒色腫」の治療薬として、国内製造販売承認を取得。
その後、2016年12月19日には「切除不能なPD-L1陽性進行・再発の非小細胞肺がん」でも承認を取得し、2017年2月15日に販売を開始しました。

◆抗原分子のPD-1に結合する作用は、先行して販売された「オプジーボ」と同じですが、非小細胞肺がんに関しては、がん細胞表面に発現するPD-L1陽性に限定され、PD-L1陽性の非小細胞肺がんであれば、オプジーボと異なり、初回治療から使用可能になった事です。

そして2017年11月30日、『PD-L1陽性の再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫』と、今回の『がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん』が加わり、適応疾患は4種となりました。




「キイトルーダ®」は、免疫細胞であるT細胞に主に発現するPD-1受容体と、腫瘍細胞に発現するPD-L1、及びPD-L2の相互作用を阻害する、抗PD-1抗体です。

T細胞のPD-1受容体に結合して、この受容体とPD-L1/PD-L2との結合を阻害する事で、腫瘍細胞のアポトーシス(細胞自死)活性を増強して、腫瘍の増殖を阻止する。


「キイトルーダ®(keytruda®)点滴静注20mg、及び100mg」の
免疫チェックポイント阻害作用機序。

T細胞の通常の免疫反応

矢印下向き

T細胞不活性化による腫瘍回避

矢印下向き

T細胞がKEYTRUDAによって活性を復活



【製品概要】
【製品名】:キイトルーダ®点滴静注20mg/同100mg
【一般名】:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)
【効能・効果】:
(1)根治切除不能な悪性黒色腫
(2)PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
(3・新)再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫
(4・新)がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌

【用法・用量】:
<根治切除不能な悪性黒色腫>
▽ 通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。

<PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
<再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫>
<がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌>
▽ 通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。

【承認取得日】:
(1)根治切除不能な悪性黒色腫:2016年9月28日
(2)PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌:2016年12月19日
(3・新)再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫:2017年11月30日
(4・新)がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌:2017年12月25日

【薬価基準収載日】:発売日2017年2月15日
【薬価】:
キイトルーダ®点滴静注 20mg:1バイアル 8万4,488円
キイトルーダ®点滴静注 100mg:1バイアル 41万0,541円


*参考価格:オプジーボ点滴静注
20mg 15万0,200円
100mg 72万9,849円



尚「キイトルーダ®点滴静注」は現在、更に、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、肝細胞がん、腎細胞がん、小細胞肺がん、卵巣がん、前立腺がん、高頻度マイクロサテライト不安定性固形がん等を対象とした、後期臨床試験(第Ⅱb相および第Ⅲ相)が進行中です。


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