田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪府大阪市中央区)は、株式会社クレハ(本社:東京都中央区日本橋)が2017年8月15日に製造販売承認を取得した、慢性腎不全用剤「クレメジン®速崩錠500mg」について、2018年1月16日より発売を開始したと発表しました。
本剤は、2017年12月8日に薬価基準に収載されています。
腎不全とは、腎臓の機能が低下して、正常に働かなくなった状態のことです。
腎不全には、急性腎不全と慢性腎不全の2種類があり、急性腎不全(急性腎障害)では、腎機能が急激に(1日以内から数週間のうちに)低下して、脱水やショック状態になります。主に薬剤などが重要な原因です。急性腎不全は適切な治療によって腎機能が回復する可能性があります。
一方、慢性腎不全では、数カ月から数十年かけて、腎機能が徐々に低下し、慢性腎臓病(CKD)となります。
慢性腎臓病(CKD)が進行すると、慢性腎不全になり、腎機能の回復が見込めないため、高度な腎機能低下では多くが末期腎不全へと進行します。
そして最終的には、透析や腎移植をする必要が出て来ます。
「クレメジン®」は、慢性腎不全(進行性/保存期)に於ける尿毒症症状の改善や、透析導入に至るまでの期間を延長する、世界初の慢性腎不全用剤として、1991年にカプセル剤(現販売名:クレメジン®カプセル200mg)を発売。
その後、2000年には細粒剤(現販売名:クレメジン®細粒分包2g)を追加し、慢性腎不全の患者の服薬アドヒアランス向上に貢献して来ました。
*アドヒアランスは~患者が、積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受ける事。
今回新たに追加された「クレメジン®速崩錠500mg」は、服薬量を大きく増やす事なく、少量の水で速やかに崩壊しながらも、口腔内での拡散を抑える工夫を施した製品です。
「クレメジン®」は、株式会社クレハが開発した、高純度の多孔質炭素からなる“球形微粒状の経口吸着薬”(球形吸着炭)です。
慢性腎不全における尿毒症毒素を消化管内で吸着し、生体内に吸収されずに、便と共に排泄される事で、慢性腎不全(保存期/進行性)における尿毒症症状の改善や、透析導入に至るまでの期間を延長する世界で初めての慢性腎不全用剤です。
「クレメジン®」服用の注意事項として、本剤は化学物質を吸着する薬ですので、例えば糖尿病や高血圧などの薬も化学物質の為、同時にこれらの薬を服用した場合、活性炭に薬剤の有効成分が吸着され、効果が弱くなってしまう事があります。
これを避けるために、「クレメジン®」は『毎食後』など他の薬と一緒に服用するのではなく、単独で、服用間隔をあける必要があります。
【製品概要】
【販売名】:クレメジン®速崩錠500mg(KREMEZIN® Tablets 500mg)
【効能・効果】:慢性腎不全(進行性)における尿毒症症状の改善及び透析導入の遅延
【用法・用量】:通常、成人にクレメジン原体として1日6g を3回に分割し、経口投与する。
【包装】:クレメジン®速崩錠500mg 336錠(4錠×84)
【薬価】:47.80円(500mg/1錠)
【製造販売承認日】:2017年8月15日
【薬価基準収載日】:2017年12月8日
【発売日】:2018年1月16日
【製造販売元】:株式会社クレハ
【販売元】:田辺三菱製薬株式会社
【服薬改善】:毒素を吸着するクレメジンは、当初カプセル剤のみだった為、1日6g(6,000mg)服用するためには、30カプセルを服用する必要があり、きちんと服薬を守れない方が多いと言う難点がありました。
その後、細粒分包2gが追加され、1日3包になりましたが、粉の量が多く、コップの水と一緒に一気にストローで吸って飲むと言う、わずらわしさがありました。
追加承認された速崩錠500mgは、僅かの水で1回4錠を1日3回で必要量の1日6g(6,000mg)を満たす事になります。