厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会は8月3日、日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市中央区)が、国内に於ける製造販売承認を申請していた「ホルモン受容体陽性(HR+)且つ、ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)の手術不能又は再発乳がん」の効能・効果で、サイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase:CDK)4及び6阻害剤「ベージニオ錠™50mg、同錠100mg、同錠150mg(一般名:アベマシクリブ=Abemaciclib)」について、新有効成分含有医薬品として承認申請を了承した。
本剤は早ければ、来月中にも正式承認される見通し。
内分泌療法(ホルモン療法)後に増悪した
HR+かつHER2-の進行手術不能又は再発乳がん治療薬
サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害剤
「ベージニオ錠™50mg、同錠100mg、同錠150mg」
(一般名:アベマシクリブ=Abemaciclib)
一般社団法人日本乳癌学会によると、進行乳癌(Stage Ⅲ)は早期乳癌と比較して、遠隔転移率、局所再発率が高く、その予後は不良です。
進行乳癌には、癌が乳房組織から身体の他の部位へと広がった転移性乳癌と、癌が最初に発生した組織の周囲には増殖が認められるものの、身体の他の部位には広がっていない局所進行乳癌があります。〔米国癌学会、癌データ2017〕
進行乳癌(転移性/局所進行性)では、近年特に、腫瘍サブタイプ別の治療方針が提唱されるようになって来ました。〔国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター/乳がん/サブタイプ分類〕
米国で、診断時に病期が進行している患者ほど生存率が低く、診断時の癌の広がりが限局性の患者の5年相対生存率は99%、領域性(乳房内または内胸リンパ節)の患者では85%、転移性の患者では26%です。
5年生存率の推定値は、腫瘍サイズなどその他の要因にも影響を受けます。〔日本イーライリリー株式会社プレスリリースより〕
「ベージニオ™錠(Verzenio™)」は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)に対する阻害剤で、サイクリンDと結合する事により効果を現します。
G1…第1次成長期(First growth phase)。
S…DNA合成段階(DNA synthesis phase)。
G2…二次成長期(Second growth)。
M…有糸分裂(Mitosis)。
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌細胞では、サイクリンD1、及びCDK4/6が網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化、細胞周期の進行、細胞増殖を促進する事が示されています。
「ベージニオ™錠」は【細胞周期】を停止させ、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
正式承認されれば、ファイザーの乳がん治療薬「イブランスカプセル」に続く、2剤目のCDK4/6阻害薬となる。
【用法・用量】
ベージニオ錠、イブランスカプセルともホルモン療法剤(内分泌療法剤)フェソロデックス筋注(一般名:フルベストラント)と併用して用いる。
●ベージニオ錠は通常、1回150mgを1日2回経口投与で用いる。
●イブランスカプセルは通常、1日1回125mgを3週連続投与して、1週間休薬することを1サイクルとして用いる。
【副作用の発現割合】
「ベージニオ錠™(Verzenio™)」の投与を受けた患者で、高頻度に発現した副作用(全グレード、発現率20%以上)は、下痢(90%)、疲労(65%)、悪心(64%)、食欲減退(45%)、腹痛(39%)、好中球減少症(37%)、嘔吐(35%)、感染症(31%)、貧血(25%)、血小板減少症(20%)、頭痛(20%)でした。
非臨床試験で、「ベージニオ™錠」を単独療法、又は抗エストロゲン剤との併用療法として連日投与する事により、腫瘍サイズの縮小が認められました。
試験管内では、「ベージニオ™錠」の連続投与により網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化が阻害され、細胞周期のG1~S期の進行が停止し、細胞の老化やアポトーシス(細胞死)が生じた。
正常細胞のCDK4/6を阻害すると副作用が生じる可能性があり、重篤な副作用が見られる場合もあります。また「ベージニオ™錠」が血液脳関門を通過する事を示唆する臨床的エビデンスも得られています。
本剤は2017年10月4日、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性の乳癌に関する効能・効果で米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得している。
本剤は早ければ、来月中にも正式承認される見通し。
内分泌療法(ホルモン療法)後に増悪した
HR+かつHER2-の進行手術不能又は再発乳がん治療薬
サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害剤
「ベージニオ錠™50mg、同錠100mg、同錠150mg」
(一般名:アベマシクリブ=Abemaciclib)
一般社団法人日本乳癌学会によると、進行乳癌(Stage Ⅲ)は早期乳癌と比較して、遠隔転移率、局所再発率が高く、その予後は不良です。
進行乳癌には、癌が乳房組織から身体の他の部位へと広がった転移性乳癌と、癌が最初に発生した組織の周囲には増殖が認められるものの、身体の他の部位には広がっていない局所進行乳癌があります。〔米国癌学会、癌データ2017〕
進行乳癌(転移性/局所進行性)では、近年特に、腫瘍サブタイプ別の治療方針が提唱されるようになって来ました。〔国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター/乳がん/サブタイプ分類〕
米国で、診断時に病期が進行している患者ほど生存率が低く、診断時の癌の広がりが限局性の患者の5年相対生存率は99%、領域性(乳房内または内胸リンパ節)の患者では85%、転移性の患者では26%です。
5年生存率の推定値は、腫瘍サイズなどその他の要因にも影響を受けます。〔日本イーライリリー株式会社プレスリリースより〕
「ベージニオ™錠(Verzenio™)」は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)に対する阻害剤で、サイクリンDと結合する事により効果を現します。
G1…第1次成長期(First growth phase)。
S…DNA合成段階(DNA synthesis phase)。
G2…二次成長期(Second growth)。
M…有糸分裂(Mitosis)。
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳癌細胞では、サイクリンD1、及びCDK4/6が網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化、細胞周期の進行、細胞増殖を促進する事が示されています。
「ベージニオ™錠」は【細胞周期】を停止させ、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
正式承認されれば、ファイザーの乳がん治療薬「イブランスカプセル」に続く、2剤目のCDK4/6阻害薬となる。
【用法・用量】
ベージニオ錠、イブランスカプセルともホルモン療法剤(内分泌療法剤)フェソロデックス筋注(一般名:フルベストラント)と併用して用いる。
●ベージニオ錠は通常、1回150mgを1日2回経口投与で用いる。
●イブランスカプセルは通常、1日1回125mgを3週連続投与して、1週間休薬することを1サイクルとして用いる。
【副作用の発現割合】
「ベージニオ錠™(Verzenio™)」の投与を受けた患者で、高頻度に発現した副作用(全グレード、発現率20%以上)は、下痢(90%)、疲労(65%)、悪心(64%)、食欲減退(45%)、腹痛(39%)、好中球減少症(37%)、嘔吐(35%)、感染症(31%)、貧血(25%)、血小板減少症(20%)、頭痛(20%)でした。
非臨床試験で、「ベージニオ™錠」を単独療法、又は抗エストロゲン剤との併用療法として連日投与する事により、腫瘍サイズの縮小が認められました。
試験管内では、「ベージニオ™錠」の連続投与により網膜芽細胞腫タンパク質のリン酸化が阻害され、細胞周期のG1~S期の進行が停止し、細胞の老化やアポトーシス(細胞死)が生じた。
正常細胞のCDK4/6を阻害すると副作用が生じる可能性があり、重篤な副作用が見られる場合もあります。また「ベージニオ™錠」が血液脳関門を通過する事を示唆する臨床的エビデンスも得られています。
本剤は2017年10月4日、ホルモン受容体(HR)陽性かつHER2陰性の乳癌に関する効能・効果で米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得している。