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難病・遺伝性血管性浮腫の新規治療薬「フィラジル®皮下注」が製造販売承認を取得

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シャイアー・ジャパン株式会社(本社:東京都千代田区丸の内)は9月21日、国指定難病の一つの「遺伝性血管性浮腫(HAE=Hereditary Angioedema)」の治療薬、選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ(一般名:イカチバント酢酸塩=米:FIRAZYR®)」について、厚生労働省より『遺伝性血管性浮腫の急性発作』を効能・効果として、製造販売承認を取得したと発表しました。

「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ」は、発作の原因である*ブラジキニン(↓)の作用を直接的に阻害する、唯一の遺伝性血管性浮腫(HAE)治療薬となります。


フィラジル皮下注30㎎シリンジ_HAE治療薬
選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー
遺伝性血管性浮腫治療薬「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ」


遺伝性血管性浮腫(HAE)は、常染色体優位遺伝性(75%)の希少性衰弱性疾患です。

遺伝性血管性浮腫の症状は、突然顔や唇、手足、消化器などさまざまな部位に腫れやむくみ、激しい痛みが起きる疾患です。
遺伝性血管性浮腫の患者は、身動きが出来ないほどの激しい腹痛に襲われたり、唇や顔がヒドく腫れて変形し、別人のように変貌してしまう発作を起こします。
浮腫の症状は2~5日間程度で治まる事が多いものの、慢性的に繰り返す疾患です。

遺伝性血管性浮腫の発作前と後

罹患率は5万人に1人の割合で、国内の患者数は推定2,500人ですが、実際に治療している患者は約450人にとどまると言われています。

急性発作時に最も 深刻なのは、顔面の腫れが喉頭(のど)に及んだ場合、呼吸困難や窒息を起こし、死亡する危険もあり、発作時は出来る限り早く治療する事が推奨されている。

しかし、学校や職場で発作が起きた場合、多くの患者にとってその場を離れて速やかに医療機関を受診する事は容易ではありません。
また、夜間に発症した場合には、その場で早期に治療できる選択肢が存在しない為、翌朝まで自宅で我慢を強いられている患者も少なくありません。


遺伝性血管性浮腫の気道狭窄発作の前と後
遺伝性血管性浮腫の気道狭窄発作(上A図)
内視鏡による拡張処置後(下B図)

現時点での標準的治療法は、唯一の承認薬である、「ベリナートP静注用(CSLベーリング)」による血漿由来人C1インアクチベーター製剤による補充療法でしたが、溶剤による溶解後に点滴静注するため、医療機関の受診が難しいケースに於いては、生命に関わる事もありました。


このように、遺伝性血管性浮腫の患者は、日常生活に於いて、様々な支障があり大きな負担となっており、「早期治療」「早期処置」は、現在の日本の遺伝性血管性浮腫治療の最大のアンメットニーズ(疾患に対する治療法がQOL改善に至っていない)として認識されています。

 *ブラジキニンとは‥‥。
 血管拡張や痛み刺激の伝達などの生理作用を持つ血液中に存在する生理活性物質。



「遺伝性血管性浮腫の急性発作」は、C1インヒビターの欠損、又は機能障害によって過剰に産生されたブラジキニンが、その受容体であるB2受容体に結合して、血管透過性が亢進(=強める)する事で引き起こされます。

遺伝性血管性浮腫治療薬フィラジルの作用機序
遺伝性血管性浮腫の急性発作の仕組みと
「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ(イカチバント)」の作用機序

「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ」は、HAE発作の原因である“ブラジキニンの作用を直接的に阻害する唯一の治療薬”です。
また本剤は、面倒な投与前の準備が不要で、針を装着した後、直ちに投与出来るように、ブラジキニンの作用を直接的に阻害する有効成分を注射器内に予め充填しており(プレフィルドシリンジ製剤)、煩雑な投与前の準備も不要で、速やかな治療(腹部への自己皮下注)が可能な唯一のHAE治療薬でもあります。

更に本剤は、一回の注射で速やかにHAEの発作症状を緩和させる事が期待できる事で、HAE患者に新たな治療の選択肢を提供し、早期治療を通じ、患者のQOL改善に貢献できると期待されます。


本剤は、欧州で2008年に最初の承認を受けた後、既に世界45カ国で承認、販売されています。



【製品概要】
【製品名】:フィラジル®皮下注30㎎シリンジ(FIRAZYR®pre-filled syringe)
【一般名】:イカチバント酢酸塩(Icatibant injection)
【効能・効果】:遺伝性血管性浮腫の急性発作
【薬理作用】:選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー
<有効性について>
 ◆国内第III相臨床試験に於いて、皮膚、腹部、又は喉頭(のど)に発作を生じた患者計8名に本剤を投与(うち3名は自己投与)した症例で、症状緩和までの時間の中央値は、約1時間45分で、全患者では投与後5時間以内に症状が緩和した。
 ◆また、発作の発現から1時間未満に本剤を投与した群では、1時間以上経過後に投与した群と比べ、発作持続時間の有意な短縮が見られた。




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