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脊髄損傷患者に対する初の自己間葉系幹細胞「ステミラック注」の承認を了承

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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会は11月21日、ニプロ株式会社(本社:大阪市北区)と、札幌医科大学(北海道札幌市)とが共同開発し、今年6月29日に製造販売の承認申請をしていた、「脊髄損傷の治療に用いる※自己骨髄間葉系幹細胞『ステミラック注』(治験薬識別コード:STR01)」について、※再生医療等製品として承認することを了承した。

早ければ年内にも厚生労働大臣が正式承認し、これまでリハビリ以外に有効な治療法が無かった、脊髄損傷患者への治療が行われる見通しとなった。



  ※間葉系幹細胞‥‥神経や血管、軟骨や内皮細胞などに分化する能力を持った幹細胞。
  ▲【注】間葉系幹細胞は、多能性幹細胞とは異なり心臓や肝臓、血液や骨そのものなどの組織体への分化は確立していない。
 ※再生医療等製品・・・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第2条第9項に以下の通り定義されている。

 (1)人の細胞に培養等の加工を施したものであって、
  ①身体の構造・機能の再建・修復・形成するもの
  ②疾病の治療・予防を目的として使用するもの

 (2)遺伝子治療を目的として、人の細胞に導入して使用するもの



骨髄由来間葉系幹細胞分化


「ステミラック注」は、自己骨髄間葉系幹細胞を使った、脊髄損傷に対する初の細胞治療製剤(再生医療製品)となる。
本治療には、公的医療保険が適用される見通しで、その後、来年中に販売される見通しである。




ヒト骨髄由来間葉系幹細胞
ヒト骨髄由来間葉系幹細胞

「ステミラック注」製剤は、骨髄液の採取を「脊髄損傷受傷後31日以内を目安に実施する」とし、患者の骨髄液から採取した『間葉系幹細胞』を培養して、細胞製剤にした5千万~2億個の間葉系幹細胞を、「製品が製造され次第、可能な限り速やかに投与する」と定めた。

脊髄損傷MRI
脊髄損傷患者のMRI画像

間葉系幹細胞が脊髄の損傷部に自然に集まり、炎症を抑えて神経の再生を促したり神経細胞に分化したりして、脊髄損傷に伴う神経症状や機能障害の改善が期待される、脊髄損傷に対する初の細胞治療製品となる。

間葉系幹細胞
◆Copyright © 2018 読売新聞電子版より

日本国内の治験では13例の患者によって評価され、損傷から1~2か月内に投与し、220日後の効果を評価した所、13例中12例がASIA機能障害尺度で1段階以上改善。
改善割合は、尺度B(2例)と、尺度C(5例)の患者は100%、尺度Aの患者は6例中5例が改善し83.3%の結果となった。

しかし、薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会は、安全性は確認できたが、治験評価症例数が少なく、有効性については推定にとどまると判断して、「条件及び期限付き承認」扱いとし、今後7年かけて、対照群を設けて比較評価を行うことにした。





*但し、発表されたプレスリリースを良く読むと、既に脊髄損傷によって神経細胞の機能が停止している患者での臨床試験は行われておらず、治験症例数が少ないのも、脊髄損傷を負った直後の患者で良好な結果が得られているようです。

実際にどのような治療で、どのような患者に有効なのか、またどの程度回復できるのかは今後の症例数の積み重ねを待つしかありません。







ペタしてね月ペタしてね鳥

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