ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区代々木)は11月20日、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ローブレナ®錠25mg、同100mg(一般名:ロルラチニブ)」を発売したと発表しました。
抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ローブレナ®錠25mg、同100mg」
(一般名:ロルラチニブ)
ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容の
<第3世代ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌適応>
ALK(未分化リンパ腫キナーゼ=Anaplastic Lymphoma Kinase)融合遺伝子陽性の肺がん治療には、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害剤として、2012年の「ザーコリ®(クリゾチニブ/ファイザー)」の発売以降、2014年に「アレセンサ(アレクチニブ/中外製薬)」及び2016年の「ジカディア(セリチニブ/ノバルティス)」の合計3剤のALK阻害剤が発売され、治療選択肢が広がっています。
一方で、遺伝子の薬剤耐性変異により、2016年5月に発売された「ジカディア(セリチニブ)」のように、当初は「ザーコリ®(クリゾチニブ)」に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の適応で承認されたものもあります。
その後、2017年9月に「ジカディア(セリチニブ)」は、一次治療への適応拡大の承認を取得しました。
肺がんの中でも、非小細胞肺がん(NSCLC)はドライバー遺伝子変異が多い事が知られています。
◆ドライバー遺伝子とは‥‥がん遺伝子・がん抑制遺伝子と言った、がんの発生・進展に於いて直接的に重要な役割を果たす遺伝子の事で、非小細胞肺がんで同定された遺伝子の数は、およそ18種(複合パターン含む)。
その中で最も多いのがEGFR遺伝子変異(23%)。
その後順に‥‥、BRAF遺伝子変異(4%)、ALK融合遺伝子変異(3%)、RET融合遺伝子変異(3%)、PIK3CA遺伝子変異(3%)、METエクソン14スキッピング変異(3%)、ROS1融合遺伝子変異(2%)などが2%以上となっている。
その中で、ALK融合遺伝子変異を標的としたALKチロシンキナーゼ阻害剤は、2012年に初めて登場した、新しい薬剤と言う事が出来ます。
本来は離れて存在するEML4(微小管結合タンパク質)遺伝子とALK(未分化リンパ腫キナーゼ)遺伝子が、逆位転座して融合。→すると、この融合遺伝子から産生されるEML4-ALK融合蛋白が、内在するチロシンキナーゼ(リン酸化する酵素の総称)を恒常的に活性化することにより、強力な癌化能を有する様になる。
第1世代のALK阻害薬「ザーコリ®(クリゾチニブ)」に次ぐ、第2世代のALK阻害薬「アレセンサ(アレクチニブ)」と「ジカディア(セリチニブ)」が増え、複数のALK阻害薬を使いこなす事により、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者の予後の更なる改善が期待できるようになりました。
〔日本内科学会雑誌106巻6号・進行・再発肺癌の最新治療2017より〕
しかしながら、多くの薬剤で、既存薬で効果が得られなくなると言う、“薬剤耐性”が常に大きな壁として、治療上の課題となっていました。
これらの薬剤をどのように使い分けるかと言う課題(シークエンス=治療の順序)と、第1世代や第2世代ALK阻害薬に耐性が出来た場合の、確立された治療が無く、新たな選択肢の薬剤の登場が待ち望まれていました。
「ローブレナ®錠」は、この薬剤耐性メカニズムに注目し創製された、第三世代のALK阻害剤で、耐性変異が見られる“変異型ALK”にも効果が期待される薬剤です。
その他の特徴として、七番目に多い「ROS1融合遺伝子変異」にも高い活性を示す事から、「ローブレナ®錠」は第三世代と称され、ALK融合遺伝子とROS1融合遺伝子の染色体再構成を有する『ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤』でもあります。
また、非小細胞肺癌(NSCLC)患者の約75%が、転移後、又は進行後に肺がんと診断されますが、その時点での5年生存率は、僅か5%です(何らの治療もしない場合)。
病期Ⅳ(ステージ4)の肺がんで、遠隔転移を起こしやすい臓器としては肺、脳、骨、肝臓、副腎などが代表的ですが、「ローブレナ®錠」の有効成分である『ロルラチニブ』は、他のALK阻害剤に抵抗性を示す変異腫瘍に対しても効果を発揮し、更に、脳転移の病巣にも抗腫瘍効果があるよう、【血液脳関門】を通過できるように設計されました。
臨床試験に於いて、既存のALK阻害剤に抵抗性、又は不耐容のALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する臨床的に意義のある抗腫瘍効果と、忍容性が示されています。
「ローブレナ®錠」は、2017年10月に導入された、「医薬品の条件付き早期承認制度」の適用を受け、優先審査の対象として、約8カ月間の審査期間を経て、本年9月21日、世界に先駆けて日本での承認を取得。
また米国では、本年11月2日に米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)、及び優先審査に指定され、承認を取得しています。
*尚、オプジーボやキイトルーダ、テセントリクなどとの違いは、癌細胞の免疫機能を阻害する事で、免疫T細胞が癌細胞への攻撃を活性化させる薬剤であるのに対して、ALK阻害剤などは、遺伝子の染色体異常による活性化を阻害する薬剤です。
【ローブレナ®の製品概要】
【製品名】:ローブレナ®錠25mg/100mg(LORBRENA® Tablets 25mg/100mg)
【一般名】:ロルラチニブ(Lorlatinib)
【効能・効果】:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【用法・用量】:通常、成人にはロルラチニブとして1日1回100mgを経口投与する。尚、患者の状態により適宜減量する。
【製造販売承認取得日】:2018年9月21日
【薬価収載日/発売日】:2018年11月20日
【薬価】:25mg=7,216.40円/100mg=25,961.00円
抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤「ローブレナ®錠25mg、同100mg」
(一般名:ロルラチニブ)
ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容の
<第3世代ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌適応>
ALK(未分化リンパ腫キナーゼ=Anaplastic Lymphoma Kinase)融合遺伝子陽性の肺がん治療には、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害剤として、2012年の「ザーコリ®(クリゾチニブ/ファイザー)」の発売以降、2014年に「アレセンサ(アレクチニブ/中外製薬)」及び2016年の「ジカディア(セリチニブ/ノバルティス)」の合計3剤のALK阻害剤が発売され、治療選択肢が広がっています。
一方で、遺伝子の薬剤耐性変異により、2016年5月に発売された「ジカディア(セリチニブ)」のように、当初は「ザーコリ®(クリゾチニブ)」に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の適応で承認されたものもあります。
その後、2017年9月に「ジカディア(セリチニブ)」は、一次治療への適応拡大の承認を取得しました。
肺がんの中でも、非小細胞肺がん(NSCLC)はドライバー遺伝子変異が多い事が知られています。
◆ドライバー遺伝子とは‥‥がん遺伝子・がん抑制遺伝子と言った、がんの発生・進展に於いて直接的に重要な役割を果たす遺伝子の事で、非小細胞肺がんで同定された遺伝子の数は、およそ18種(複合パターン含む)。
その中で最も多いのがEGFR遺伝子変異(23%)。
その後順に‥‥、BRAF遺伝子変異(4%)、ALK融合遺伝子変異(3%)、RET融合遺伝子変異(3%)、PIK3CA遺伝子変異(3%)、METエクソン14スキッピング変異(3%)、ROS1融合遺伝子変異(2%)などが2%以上となっている。
その中で、ALK融合遺伝子変異を標的としたALKチロシンキナーゼ阻害剤は、2012年に初めて登場した、新しい薬剤と言う事が出来ます。
本来は離れて存在するEML4(微小管結合タンパク質)遺伝子とALK(未分化リンパ腫キナーゼ)遺伝子が、逆位転座して融合。→すると、この融合遺伝子から産生されるEML4-ALK融合蛋白が、内在するチロシンキナーゼ(リン酸化する酵素の総称)を恒常的に活性化することにより、強力な癌化能を有する様になる。
第1世代のALK阻害薬「ザーコリ®(クリゾチニブ)」に次ぐ、第2世代のALK阻害薬「アレセンサ(アレクチニブ)」と「ジカディア(セリチニブ)」が増え、複数のALK阻害薬を使いこなす事により、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者の予後の更なる改善が期待できるようになりました。
〔日本内科学会雑誌106巻6号・進行・再発肺癌の最新治療2017より〕
しかしながら、多くの薬剤で、既存薬で効果が得られなくなると言う、“薬剤耐性”が常に大きな壁として、治療上の課題となっていました。
これらの薬剤をどのように使い分けるかと言う課題(シークエンス=治療の順序)と、第1世代や第2世代ALK阻害薬に耐性が出来た場合の、確立された治療が無く、新たな選択肢の薬剤の登場が待ち望まれていました。
「ローブレナ®錠」は、この薬剤耐性メカニズムに注目し創製された、第三世代のALK阻害剤で、耐性変異が見られる“変異型ALK”にも効果が期待される薬剤です。
その他の特徴として、七番目に多い「ROS1融合遺伝子変異」にも高い活性を示す事から、「ローブレナ®錠」は第三世代と称され、ALK融合遺伝子とROS1融合遺伝子の染色体再構成を有する『ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤』でもあります。
また、非小細胞肺癌(NSCLC)患者の約75%が、転移後、又は進行後に肺がんと診断されますが、その時点での5年生存率は、僅か5%です(何らの治療もしない場合)。
病期Ⅳ(ステージ4)の肺がんで、遠隔転移を起こしやすい臓器としては肺、脳、骨、肝臓、副腎などが代表的ですが、「ローブレナ®錠」の有効成分である『ロルラチニブ』は、他のALK阻害剤に抵抗性を示す変異腫瘍に対しても効果を発揮し、更に、脳転移の病巣にも抗腫瘍効果があるよう、【血液脳関門】を通過できるように設計されました。
臨床試験に於いて、既存のALK阻害剤に抵抗性、又は不耐容のALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する臨床的に意義のある抗腫瘍効果と、忍容性が示されています。
「ローブレナ®錠」は、2017年10月に導入された、「医薬品の条件付き早期承認制度」の適用を受け、優先審査の対象として、約8カ月間の審査期間を経て、本年9月21日、世界に先駆けて日本での承認を取得。
また米国では、本年11月2日に米国食品医薬品局(FDA)より画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)、及び優先審査に指定され、承認を取得しています。
*尚、オプジーボやキイトルーダ、テセントリクなどとの違いは、癌細胞の免疫機能を阻害する事で、免疫T細胞が癌細胞への攻撃を活性化させる薬剤であるのに対して、ALK阻害剤などは、遺伝子の染色体異常による活性化を阻害する薬剤です。
【ローブレナ®の製品概要】
【製品名】:ローブレナ®錠25mg/100mg(LORBRENA® Tablets 25mg/100mg)
【一般名】:ロルラチニブ(Lorlatinib)
【効能・効果】:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【用法・用量】:通常、成人にはロルラチニブとして1日1回100mgを経口投与する。尚、患者の状態により適宜減量する。
【製造販売承認取得日】:2018年9月21日
【薬価収載日/発売日】:2018年11月20日
【薬価】:25mg=7,216.40円/100mg=25,961.00円