アッヴィ合同会社(本社:東京都港区三田3丁目)は11月20日、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)治療薬として開発した「ベネトクラクス(一般名:venetoclax)」について、日本での製造販売承認を申請したと発表しました。
再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)治療薬
<経口BCL-2阻害薬>
「ベネトクラクス(一般名:venetoclax)」
米国販売名:venetoclax tablets(ベネトクラクス錠)
(米国FDA承認名:ベンクレクスタ®/VENCLEXTA_™)
慢性リンパ性白血病(CLL=Chronic Lymphocytic Leukemia)は、通常緩やかに進行する慢性の血液がんの一種で、血液細胞の中の成熟したB細胞が癌化して、異常な白血病細胞が増殖する病気です。
国内の診断時年齢中央値は60~70歳以上、全体の4分の3以上の患者が50歳以上の中高年で、若年層や30歳未満の人には殆ど見られず、小児には見られません。
日本での発症率は、年間10万人に0.3人です。患者数は慢性リンパ性白血病が約1000人、類似の小リンパ球性リンパ腫が約1600人と推定されています。
[国立がん研究センター がん情報サービス 2018年10月]
[MSDマニュアル-家庭版、慢性リンパ性白血病-原因、症状、診断、および治療についてより]
一方で米国に於いては、毎年新たに診断される患者は、20,000人を超えています。
[米国癌学会 (2015). Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL). http://www.cancer.org/acs/groups/cid/documents/webcontent/003111-pdf.pdf]
米国や欧州では、最も多く見られる白血病が、慢性リンパ性白血病です。日本や東南アジアでは希少疾患である為、慢性リンパ性白血病の発症は遺伝がその一因となっている事を示しています。
【症状】
初期の慢性リンパ性白血病(CLL)では一般に症状が見られず、白血球数の増加から診断されます。
【診断】
•血液検査 •骨髄検査
【治療選択】
慢性リンパ性白血病は、完全に治癒する事は難しい疾患ですが、寛解に導く事で、長期生存が可能です。しかしながら、体力や免疫力の低下による再発の不安を常に抱えている事になります。
また中・高齢者が多い事から、一部(若年者)を除いては症状緩和や病状のコントロールを目的とした治療となります。
病状の進行がゆっくりのため、病期分類0 期、Ⅰ期、Ⅱ期では、慎重な経過観察を行います。
病期Ⅲ、Ⅳ期になると、リンパ節腫脹や肝臓・脾臓(ひぞう)の腫大、貧血や血小板減少などの症状が見られるようになり、治療の開始基準となります。
治療は化学療法が中心で、抗がん剤や分子標的薬を単剤で使用するか、或いは多剤併用療法を行います。
第17番染色体短腕(17p-13-TP53)の欠失があったり、治療効果がなく予後不良と考えられる場合には、造血幹細胞移植が検討される。
【初発一次治療(標準治療)】
(1)FC療法(フルダラビン+シクロホスファミド)
(2)FCR療法(フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ)
(3)BR療法(ベンダムスチン+リツキシマブ)
◆フルダラビン…プリン代謝拮抗薬、◆シクロホスファミド…アルキル化薬、◆リツキシマブ…分子標的薬/抗CD20モノクローナル抗体、◆ベンダムスチン(2016年)…アルキル化薬
【再発二次治療】
(1)イブルチニブ(ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬:2017年)
(2)アレムツズマブ(抗CD52モノクローナル抗体)
(3)オファツムマブ(抗CD20モノクローナル抗体)
[参考資料:日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン2013]
[参考:日経メディカル Online 新規治療薬の開発で治療成績の改善が期待される慢性リンパ性白血病]
慢性リンパ性白血病では、治療によってがん細胞が正常な細胞の基準を下まわった場合に寛解として、治療効果があったと見て、経過観察になります。
しかし特に、染色体17p欠失やTp53遺伝子異常のある場合、再発や化学療法に対する治療抵抗性(難治性)が発現し、このような再発/難治性の慢性リンパ性白血病には有効な治療法が確立されていません。
「ベネトクラクス(venetoclax tablets)」は、BCL-2(抗アポトーシス蛋白)と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤で、癌細胞で失われてしまったアポトーシス(腫瘍細胞の自滅死)という、癌細胞の自然死、又は自己破壊の過程を回復させ、癌細胞の自死を復活させる作用がある。
【用語説明】
◆BIMやBAXはBCL-2族タンパク質であり、通常はBAD、BID、BAXおよびBIMは細胞質に存在しますが、アポトーシス促進タンパク質の活性化によるシグナルを受け取ると、細胞死のためにミトコンドリアへと移動し、そこでシトクロムcの放出を促進。結果として癌細胞をアポトーシスへ導く。
本剤が承認された場合、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して、従来の殺細胞性の化学療法を含まない新たな治療選択肢が可能となります。
現在も「ベネトクラクス」と他剤との併用療法を比較する、多施設共同非盲検無作為化第3相試験が進行中で、治療歴のない患者を対象に、併用療法の有効性及び安全性が検討されている。
[Venclexta (venetoclax) [Package Insert]. North Chicago, Ill.: AbbVie Inc.]
「ベネトクラクス(一般名:venetoclax)」は、染色体17p欠失で尚且つ、1つ以上のレジメン治療歴のある慢性リンパ性白血病に対する単剤療法として、2016年4月に米国食品医薬品局(FDA)にて承認され、現在、50カ国以上で発売されています。
また、2018年6月には、染色体17p欠失の有無を問わず、1つ以上のレジメン治療歴がある慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する治療薬として、リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)との併用療法、また単剤療法が認められています。
[アッヴィ合同会社プレスリリース、2018年11月20日]
再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)治療薬
<経口BCL-2阻害薬>
「ベネトクラクス(一般名:venetoclax)」
米国販売名:venetoclax tablets(ベネトクラクス錠)
(米国FDA承認名:ベンクレクスタ®/VENCLEXTA_™)
慢性リンパ性白血病(CLL=Chronic Lymphocytic Leukemia)は、通常緩やかに進行する慢性の血液がんの一種で、血液細胞の中の成熟したB細胞が癌化して、異常な白血病細胞が増殖する病気です。
国内の診断時年齢中央値は60~70歳以上、全体の4分の3以上の患者が50歳以上の中高年で、若年層や30歳未満の人には殆ど見られず、小児には見られません。
日本での発症率は、年間10万人に0.3人です。患者数は慢性リンパ性白血病が約1000人、類似の小リンパ球性リンパ腫が約1600人と推定されています。
[国立がん研究センター がん情報サービス 2018年10月]
[MSDマニュアル-家庭版、慢性リンパ性白血病-原因、症状、診断、および治療についてより]
一方で米国に於いては、毎年新たに診断される患者は、20,000人を超えています。
[米国癌学会 (2015). Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL). http://www.cancer.org/acs/groups/cid/documents/webcontent/003111-pdf.pdf]
米国や欧州では、最も多く見られる白血病が、慢性リンパ性白血病です。日本や東南アジアでは希少疾患である為、慢性リンパ性白血病の発症は遺伝がその一因となっている事を示しています。
【症状】
初期の慢性リンパ性白血病(CLL)では一般に症状が見られず、白血球数の増加から診断されます。
【診断】
•血液検査 •骨髄検査
【治療選択】
慢性リンパ性白血病は、完全に治癒する事は難しい疾患ですが、寛解に導く事で、長期生存が可能です。しかしながら、体力や免疫力の低下による再発の不安を常に抱えている事になります。
また中・高齢者が多い事から、一部(若年者)を除いては症状緩和や病状のコントロールを目的とした治療となります。
病状の進行がゆっくりのため、病期分類0 期、Ⅰ期、Ⅱ期では、慎重な経過観察を行います。
病期Ⅲ、Ⅳ期になると、リンパ節腫脹や肝臓・脾臓(ひぞう)の腫大、貧血や血小板減少などの症状が見られるようになり、治療の開始基準となります。
治療は化学療法が中心で、抗がん剤や分子標的薬を単剤で使用するか、或いは多剤併用療法を行います。
第17番染色体短腕(17p-13-TP53)の欠失があったり、治療効果がなく予後不良と考えられる場合には、造血幹細胞移植が検討される。
【初発一次治療(標準治療)】
(1)FC療法(フルダラビン+シクロホスファミド)
(2)FCR療法(フルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ)
(3)BR療法(ベンダムスチン+リツキシマブ)
◆フルダラビン…プリン代謝拮抗薬、◆シクロホスファミド…アルキル化薬、◆リツキシマブ…分子標的薬/抗CD20モノクローナル抗体、◆ベンダムスチン(2016年)…アルキル化薬
【再発二次治療】
(1)イブルチニブ(ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬:2017年)
(2)アレムツズマブ(抗CD52モノクローナル抗体)
(3)オファツムマブ(抗CD20モノクローナル抗体)
[参考資料:日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン2013]
[参考:日経メディカル Online 新規治療薬の開発で治療成績の改善が期待される慢性リンパ性白血病]
慢性リンパ性白血病では、治療によってがん細胞が正常な細胞の基準を下まわった場合に寛解として、治療効果があったと見て、経過観察になります。
しかし特に、染色体17p欠失やTp53遺伝子異常のある場合、再発や化学療法に対する治療抵抗性(難治性)が発現し、このような再発/難治性の慢性リンパ性白血病には有効な治療法が確立されていません。
「ベネトクラクス(venetoclax tablets)」は、BCL-2(抗アポトーシス蛋白)と呼ばれる体内の特定タンパク質を標的とする経口BCL-2阻害剤で、癌細胞で失われてしまったアポトーシス(腫瘍細胞の自滅死)という、癌細胞の自然死、又は自己破壊の過程を回復させ、癌細胞の自死を復活させる作用がある。
【用語説明】
◆BIMやBAXはBCL-2族タンパク質であり、通常はBAD、BID、BAXおよびBIMは細胞質に存在しますが、アポトーシス促進タンパク質の活性化によるシグナルを受け取ると、細胞死のためにミトコンドリアへと移動し、そこでシトクロムcの放出を促進。結果として癌細胞をアポトーシスへ導く。
本剤が承認された場合、再発/難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対して、従来の殺細胞性の化学療法を含まない新たな治療選択肢が可能となります。
現在も「ベネトクラクス」と他剤との併用療法を比較する、多施設共同非盲検無作為化第3相試験が進行中で、治療歴のない患者を対象に、併用療法の有効性及び安全性が検討されている。
[Venclexta (venetoclax) [Package Insert]. North Chicago, Ill.: AbbVie Inc.]
「ベネトクラクス(一般名:venetoclax)」は、染色体17p欠失で尚且つ、1つ以上のレジメン治療歴のある慢性リンパ性白血病に対する単剤療法として、2016年4月に米国食品医薬品局(FDA)にて承認され、現在、50カ国以上で発売されています。
また、2018年6月には、染色体17p欠失の有無を問わず、1つ以上のレジメン治療歴がある慢性リンパ性白血病(CLL)や小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する治療薬として、リツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)との併用療法、また単剤療法が認められています。
[アッヴィ合同会社プレスリリース、2018年11月20日]