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埼玉の高2女子、強歩大会で死亡~救えなかった突然死

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AED(自動体外式除細動器)での救命処置が行われたものの、救えなかった女子高校生の命───。

亡くなった女子生徒は、9月中旬にも強歩大会の練習中、校庭で倒れたと言う。この時は意識があり、その後、病院で検査をしたが異常は無かったと言う。

埼玉県では3年前にも、生徒が突然死している。
その埼玉県で再び起きた悲劇‥‥、何故、教訓は生かされなかったのか?


埼玉県さいたま市にある埼玉県立大宮高校で10月16日、毎年恒例の行事「強歩大会」に参加した2年生の女子生徒が、ゴール手前で倒れ、翌日に死亡した。
強歩大会は、体力や精神力の向上を図るために、全学年の生徒およそ1,170人が参加し、学校近くの荒川沿いで行われ、男子は16.5km、女子は13km先のゴールを目指した。

死亡した女子生徒は、ゴールの手前およそ1.6kmの地点で倒れた。
強歩大会は、女子が走る17カ所に観察ポイントを設け、80人以上の職員が配置されたほか、給水ポイントも1カ所設置されていた。

近くにいた他の生徒が異変に気づき、生徒が教諭を呼び、3人の教諭が駆けつけた時には、既に心肺停止状態だったと言う。教諭が119番と自動体外式除細動器(AED)による蘇生措置を続け、到着した救急に引き継いだ───。

しかし女子生徒は、翌日夜に死亡した。

大会は雨天中止の予定だったが、県立大宮高校は当日朝の天気予報を参考に実施を判断。大会開始の時点で、小雨が降っていたが強歩大会は決行された。


埼玉大宮高校で女子生徒死亡

悲劇的な出来事は、偶然の産物ではありません。何んらかの連鎖的な出来事の結果です。
強歩大会での死亡事故は何故起こってしまったのか?

現時点で死因は病死と言う以外、詳細は分かっていません。
しかし報道の端々から、幾つかの原因が見えて来ます。





女子生徒は9月中旬にも強歩大会の練習中に倒れ、病院で診察を受けていますが、突然死を匂わせる心臓の異常はなく、低血糖、低血圧や貧血、体内ナトリウム濃度にも異常は無かったようです。
この時、当然、心電図検査も行われたと過程しての事ですが‥‥

心筋梗塞なら、胸の痛みを訴えるはずですが、そんな報道もありません。

突然死の最も大きな原因は、不整脈の、QT延長を伴う心室細動ですが、この時異常が無かったとすれば、何故、競歩の練習中に倒れたり、大会当日にも倒れてしまったのでしょう‥‥?




QT延長症候群

不整脈や心室頻拍や心室細動には、心臓に負荷がかかっていない場合、心電図に現れない場合があります。
平常時に心電図を取ると、正常な波形を示すため、異常なしと判断されてしまいます。

しかし、運動会やマラソン大会など、10代の児童・生徒にとって心臓に負荷の掛かる行事の場合、症状に現れない、心臓の規則的な収縮に必要なナトリウムやカリウムなどのイオンの流れに異常がある場合(QT延長症候群やブルガダ症候群など)にも、『心室細動』が生じる危険性があります。

運動と言うストレスなどで、脳から分泌される神経伝達物質ホルモン(カテコラミン)によって発症する、心室頻拍もあります。

心室筋に起因する不整脈の一種で、「カテコラミン感受性多型性心室頻拍(CPVT)」と呼ばれる症状で、血圧が下がり、めまいや失神などを起こし、時に心室細動や突然死につながります。



心室細動


カテコラミン・ホルモンは、運動によって心臓に負荷が掛かった時に放出されるホルモンなので、平常時の心電図検査では異常が出ません。

この不整脈が潜伏しているかを知るには、カテコラミンを点滴しながら心電図を測るしか方法がありませんが、それ以外でも簡単な検査があります。





無論、今回の亡くなった女子生徒が、「カテコラミン感受性多型性心室頻拍(CPVT)」だったかどうかは分かりませんが、もし死因がCPVT心室細動によるものだとすれば、発症時点で血圧はほぼゼロになる為、5~15秒で意識が消失し、3~5分以内にAED(自動体外式除細動器)による救命が実行されなければ、死に至ってしまいます。

また3分以内に心臓マッサージをすれば、蘇生の成功率は上がりますが、低酸素脳症による脳後遺症が起こり、脳死になる可能性が高くなります。

今回、女子生徒と言う事で、周りにいた人達が直ぐさま心臓マッサージが出来たのか‥‥
AEDの使用は何分後だったのか‥‥




もし仮に、この女子生徒がCPVTによる不整脈が起こると分かっていれば、運動を控えるか、或いは心室細動がどこで再発した場合でも、確実に救命がなされるように植込み型除細動器(ICD)を留置する事が、突然死を回避する最も有効な手段となります。



心室頻拍や心室細動は、僅か数秒~数分で突然死する恐ろしい病気です。
脳への血流が途絶える為、救命しても脳死になる可能性が高く、何んの前触れもなく襲って来るので、スポーツ中に失神などで倒れた場合には、運動負荷心電図と言う運動をしてもらって測定する検査が、最も簡単な方法です。


      

PM(ペースメーカー)やICDは、心臓の動きに異常を感知すると、自動的に電気信号や電気ショックを行い、心筋の動きを正常に戻してくれます。
心室細動では数秒で脳に酸素がいかなくなるので、正に秒単位の救命医療機器と言えます。
ICDによって、多くの突然死を未然に防ぐ事が出来ます‥‥。


亡くなられた女子生徒の御冥福を心よりお祈り申し上げます。





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