厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会は10月25日、ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区虎ノ門)が、新効能・新用量の追加承認を申請していた抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)阻害薬「ルセンティス®硝子体内注射液10mg/mL(一般名:ラニビズマブ=遺伝子組換え)」について、『未熟児網膜症』を効能・効果とする新効能・新用量医薬品として、承認を了承しました。
「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」は、日本国内に於いて「未熟児網膜症」に対する初めての治療薬となります。
尚、「ルセンティス®硝子体内注射液」にはバイアル品(+採液針)とキット品(プレフィルドシリンジキット)の2タイプがありますが、今回追加承認されたのはバイアル品のみ。
早ければ約1ヶ月で正式承認される。
未熟児網膜症(ROP=Retinopathy of Prematurity)は希少な失明性疾患で、在胎週数・出生体重が少ないほど網膜血管が未熟なため、発症率が高く、重症になりやすい傾向があります。
網膜は眼の内層にあり、光を受けて視覚情報に変換し脳に伝達します。
通常、網膜血管は妊娠3~4ヶ月頃(胎齢14週)に発生を始め、枝分かれして成長し、妊娠後期月頃(胎齢30週)で完成します。
未熟児網膜症の発症は、出生体重1500g未満でかつ在胎30週未満の未熟児に見られ、早産児への医学的に過度、及び長期にわたる酸素療法を受けた乳児で発症します。
早産児や未熟児、極低出生体重児(1500g未満)や超低出生体重児(1000g未満)の場合、眼の網膜血管は、妊娠中期頃に成長し始めるため、網膜血管の発達が不十分のまま出生する。
このような場合、周産期医療の進歩に伴う未熟児や超低体重児(1500~1000g未満)の生存率の向上によって、体重が極端に少ない児(こ)が生存できるようになり、母体内で網膜血管が未発達の状態から、網膜血管が異常なパターンで成長を続け、蛇行したりネジレたりし、網膜血管が形成されている網膜中央部と網膜血管が形成されていない網膜周辺部との間に、組織の隆起や収縮(萎縮)が生じ、網膜血管に引きずられる形で網膜が剥がれ(=網膜剥離)、未熟児網膜症(ROP)に進行する。
ステージ4やステージ5の重症未熟児網膜症では、網膜剥離が進行し、出生後2~12カ月以内という早期に失明に至る。
◾未熟児網膜症(ROP)に対する現在の標準治療であるレーザーによる光凝固治療は、病態を引き起こす血管内皮増殖因子(VEGF)の増加に対処できず、白内障など将来の合併症のきっかけになる可能性があります。
この方法は、血管が伸びていない部分の網膜にレーザー光線を照てて網膜を焼き、新生血管を促進する因子の放出を抑えるというもので、治療は1度だけでなく繰り返し行うこともあります。(⇒レーザー治療は眼組織に障害を与える)
レーザー治療を行ったにも関わらず、網膜剥離が進んだ場合は、強膜輪状締結術といって眼球にスポンジを巻く手術や、硝子体手術と言う眼球の中身を操作する手術が行われます。
同時に水晶体を取り除く手術が必要になることもあります。
血管の異常な成長は自然に治まることが多いものの、出生体重が1000g未満では、出産後、網膜血管が正常に発達しない場合、網膜血管が網膜を牽引(けんいん)して、黄斑牽引、網膜剥離、又はその他の構造異常を起こし、極度の視力低下や斜視、近視、弱視の発生率が高く、失明に至る恐れがあります。
〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース2018年9月22日〕
〔*未熟児網膜症 - 19.小児科 - MSDマニュアル プロフェッショナル版〕
〔*国立成育医療研究センター 未熟児網膜症〕
〔*Nature 2010/未熟児に関連の視覚障害と2010年度の世界的地域での網膜血管早熟レベルの網膜症の推定〕
〔*ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション/血管の病理学的萎縮を防止することについて〕
〔*米国眼科学会(The American Academy of Ophthalmology// retinopathy of prematurity.)〕
〔*米国眼科研究所(Nei.nih.gov)/未熟児網膜症の真実〕
抗VEGF薬「ルセンティス®硝子体内注射液(LUCENTIS/Ranibizumab)」は、眼科用VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor=血管内皮増殖因子)阻害剤で、2009年1月に中心窩下脈絡膜(ちゅうしんかかみゃくらくまく)新生血管を伴う加齢黄斑変性症で承認を取得後、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫の適応で承認を取得しているヒト化抗VEGFモノクローナル抗体です。
◾第III相臨床試験に於ける治療成功率は、レーザー治療群で66.2%だったのに対し、「ルセンティス」0.2mg投与群では80%に達し、治療成功確率数(オッズ)は「ルセンティス」0.2mg投与群で2倍高いことから、第III相臨床試験のデータは臨床的に意義があるとしている。
海外では、「ルセンティス®(LUCENTIS®)」の未熟児網膜症の適応は、2019年9月に欧州で承認されている。
「ルセンティス(一般名:ラニビズマブ)」は、スイス・バーゼルに本拠地を置くノバルティス社と米国サンフランシスコに本社を置くジェネンテック社が共同開発した治療薬で、世界110以上の国と地域で承認されています。
【製品概要】
【販売名】:ルセンティス®硝子体内注射液10mg/mL(1バイアル)
【一般名】:ラニビズマブ(Ranibizumab/遺伝子組換え)
【含有量】:ラニビズマブ(遺伝子組換え)として0.5mg(1回の投与量0.05mL中)
【効能又は効果】:
1.中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症
2.網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
3.病的近視における脈絡膜新生血管
4.糖尿病黄斑浮腫
5.未熟児網膜症(新効能効果)
【用法及び用量】:詳細不明
【薬価】:15万7,776円(0.5mg/0.05mL⇒1回あたり)
「ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL」は、日本国内に於いて「未熟児網膜症」に対する初めての治療薬となります。
尚、「ルセンティス®硝子体内注射液」にはバイアル品(+採液針)とキット品(プレフィルドシリンジキット)の2タイプがありますが、今回追加承認されたのはバイアル品のみ。
早ければ約1ヶ月で正式承認される。
未熟児網膜症(ROP=Retinopathy of Prematurity)は希少な失明性疾患で、在胎週数・出生体重が少ないほど網膜血管が未熟なため、発症率が高く、重症になりやすい傾向があります。
網膜は眼の内層にあり、光を受けて視覚情報に変換し脳に伝達します。
通常、網膜血管は妊娠3~4ヶ月頃(胎齢14週)に発生を始め、枝分かれして成長し、妊娠後期月頃(胎齢30週)で完成します。
未熟児網膜症の発症は、出生体重1500g未満でかつ在胎30週未満の未熟児に見られ、早産児への医学的に過度、及び長期にわたる酸素療法を受けた乳児で発症します。
早産児や未熟児、極低出生体重児(1500g未満)や超低出生体重児(1000g未満)の場合、眼の網膜血管は、妊娠中期頃に成長し始めるため、網膜血管の発達が不十分のまま出生する。
このような場合、周産期医療の進歩に伴う未熟児や超低体重児(1500~1000g未満)の生存率の向上によって、体重が極端に少ない児(こ)が生存できるようになり、母体内で網膜血管が未発達の状態から、網膜血管が異常なパターンで成長を続け、蛇行したりネジレたりし、網膜血管が形成されている網膜中央部と網膜血管が形成されていない網膜周辺部との間に、組織の隆起や収縮(萎縮)が生じ、網膜血管に引きずられる形で網膜が剥がれ(=網膜剥離)、未熟児網膜症(ROP)に進行する。
ステージ4やステージ5の重症未熟児網膜症では、網膜剥離が進行し、出生後2~12カ月以内という早期に失明に至る。
◾未熟児網膜症(ROP)に対する現在の標準治療であるレーザーによる光凝固治療は、病態を引き起こす血管内皮増殖因子(VEGF)の増加に対処できず、白内障など将来の合併症のきっかけになる可能性があります。
この方法は、血管が伸びていない部分の網膜にレーザー光線を照てて網膜を焼き、新生血管を促進する因子の放出を抑えるというもので、治療は1度だけでなく繰り返し行うこともあります。(⇒レーザー治療は眼組織に障害を与える)
レーザー治療を行ったにも関わらず、網膜剥離が進んだ場合は、強膜輪状締結術といって眼球にスポンジを巻く手術や、硝子体手術と言う眼球の中身を操作する手術が行われます。
同時に水晶体を取り除く手術が必要になることもあります。
血管の異常な成長は自然に治まることが多いものの、出生体重が1000g未満では、出産後、網膜血管が正常に発達しない場合、網膜血管が網膜を牽引(けんいん)して、黄斑牽引、網膜剥離、又はその他の構造異常を起こし、極度の視力低下や斜視、近視、弱視の発生率が高く、失明に至る恐れがあります。
〔*ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース2018年9月22日〕
〔*未熟児網膜症 - 19.小児科 - MSDマニュアル プロフェッショナル版〕
〔*国立成育医療研究センター 未熟児網膜症〕
〔*Nature 2010/未熟児に関連の視覚障害と2010年度の世界的地域での網膜血管早熟レベルの網膜症の推定〕
〔*ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション/血管の病理学的萎縮を防止することについて〕
〔*米国眼科学会(The American Academy of Ophthalmology// retinopathy of prematurity.)〕
〔*米国眼科研究所(Nei.nih.gov)/未熟児網膜症の真実〕
抗VEGF薬「ルセンティス®硝子体内注射液(LUCENTIS/Ranibizumab)」は、眼科用VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor=血管内皮増殖因子)阻害剤で、2009年1月に中心窩下脈絡膜(ちゅうしんかかみゃくらくまく)新生血管を伴う加齢黄斑変性症で承認を取得後、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、病的近視における脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫の適応で承認を取得しているヒト化抗VEGFモノクローナル抗体です。
◾第III相臨床試験に於ける治療成功率は、レーザー治療群で66.2%だったのに対し、「ルセンティス」0.2mg投与群では80%に達し、治療成功確率数(オッズ)は「ルセンティス」0.2mg投与群で2倍高いことから、第III相臨床試験のデータは臨床的に意義があるとしている。
海外では、「ルセンティス®(LUCENTIS®)」の未熟児網膜症の適応は、2019年9月に欧州で承認されている。
「ルセンティス(一般名:ラニビズマブ)」は、スイス・バーゼルに本拠地を置くノバルティス社と米国サンフランシスコに本社を置くジェネンテック社が共同開発した治療薬で、世界110以上の国と地域で承認されています。
【製品概要】
【販売名】:ルセンティス®硝子体内注射液10mg/mL(1バイアル)
【一般名】:ラニビズマブ(Ranibizumab/遺伝子組換え)
【含有量】:ラニビズマブ(遺伝子組換え)として0.5mg(1回の投与量0.05mL中)
【効能又は効果】:
1.中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症
2.網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
3.病的近視における脈絡膜新生血管
4.糖尿病黄斑浮腫
5.未熟児網膜症(新効能効果)
【用法及び用量】:詳細不明
【薬価】:15万7,776円(0.5mg/0.05mL⇒1回あたり)