性感染症の「梅毒」に感染した患者の報告が、今年は10月の時点で、既に昨年1年間の患者数を超え、現在の調査方法になった1999年以降で最多となった事が、国立感染症研究所のまとめで分かった───。
2014年12月29日~2015年10月25日までで「梅毒」患者は2,037人を数え、特に若い女性での増加率が高く、20~24歳女性で昨年同時期の2.7倍に上っていると言う。
危惧されるのは、若い女性の患者が増えている事で、妊娠中に感染すると、胎盤を通じて胎児に伝播される「梅毒トレポネーマ」により引き起こされる「先天梅毒」に胎児が感染する事。
「先天梅毒」は、妊娠前期では皮膚病変,リンパ節腫脹,肝脾腫,発育不全,血液の混入した鼻汁,口周囲の割れ目,髄膜炎,脈絡膜炎,水頭症,痙攣,精神遅滞,骨軟骨炎,偽性麻痺。
妊娠後期に感染すると、ゴム腫性潰瘍,骨膜病変,麻痺,癆(ろう=脊髄梅毒症),視神経萎縮,間質性角膜炎,感音性難聴,歯牙奇形などの重い障害をもたらす多臓器感染症である。
昨年、「先天梅毒」と報告されたのは10例あり、死産や障害が報告された。
国立感染症研究所は、不特定多数の人との性的接触(性交渉)、コンドームの不適切な使用などが感染の危険性を高めるほか、免疫が得られない為に何度も感染する事を警告している。
「梅毒」は一度治癒しても、感染者との性接触で再び感染するため、感染が疑われたら早めに専門医を受診し、必要に応じて性行為のパートナーにも告知・受診を促すことを勧めている。
尚、梅毒は、梅毒血清反応が陰性であっても、梅毒に感染していないとは言い切れません。安易な検査薬ではなく、専門医による梅毒トレポネーマの細菌検査が必要です。トレポネーマが死滅するまで治療が必要になります。
↧
若い女性の「梅毒」急増、妊娠中では胎児に多臓器疾患!
↧