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爪水虫治療薬に睡眠薬混入、70代女性死亡・134人が健康被害

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製薬会社「小林化工(福井県あわら市)」の「爪水虫(つめみずむし)」などの治療薬に睡眠導入剤成分が混入していた問題で、小林化工は12日、服用して12月10日に死亡した患者が、首都圏の病院に入院していた70代の女性だと発表した。



同社は自主回収を始めているが、死者が判明したのは初めて。
亡くなった女性が服用したのは、イトラコナゾール錠50「MEEK」のロット番号「T0EG08」。小林広幸社長は12日、記者団の取材に「重大な過失を起こしたことを深くおわびする。責任の重大さを痛感している」と謝罪した。
死亡との因果関係について詳しく調べるとしている。


福井県によると、問題の錠剤を処方されたのは31都道府県の364人。最も多いのは大阪府の58人で、次いで徳島県57人、岐阜県49人、東京都35人など。




同社によると、同じロット番号の錠剤は約9万錠あり、服用後に意識を失ったり、ふらついたりするなどの健康被害が12日時点で134件寄せられている。このうち救急搬送や入院が確認された事例(退院者を含む)は33件、自動車などによる事故は15件に上る。


小林化工によると、Meiji Seika ファルマと共同販売している爪白癬などの治療に用いる経口抗真菌薬「イトラコナゾール錠50『MEEK』」の一部ロットのクラスI回収事案について、1日4錠服用すると、混入したベンゾジアゼピン系睡眠薬「リルマザホン塩酸塩水和物」が、通常臨床用量の10~20倍に達する事を7日、明らかにした。





症状は、ふらつきや意識消失などの健康被害が想定され、6日までに、▲交通事故(自損)8件▲精神・神経系の症状で救急搬送・入院10件……など、計63件の健康被害を把握していたと言う。

1錠中に含まれるリルマザホン塩酸塩水和物は5mg。

1日4錠服用すると計20mgになり、通常臨床用量の10~20倍に達すると言う。

これによって、ふらつき、意識消失のほか、▲転倒▲記憶消失▲意識もうろう──などの症状を引き起こす可能性がある。

具体的な事例としては、服用直後に意識を失ったり、ろれつが回らなくなったりしたと言う。自動車の運転中に意識を失い、中央分離帯に接触した例も報告されている。

小林化工は「甚大な健康被害が発生」とし、7日、薬剤師会などを通じて回収への協力を呼び掛けていた。





薬は厚生労働省の承認を得ていない工程で製造されており、原料を継ぎ足す際に、睡眠導入剤の成分である「リルマザホン塩酸塩水和物」を取り違えて入れたとみられる。

小林化工ではダブルチェックが機能せず、見抜けなかったと言う。

福井県は9日に同社を立ち入り調査。
医薬品医療機器法違反に当たる可能性もあるとみて調べている。
薬は医師の処方箋が必要のため、市販はされていない。




この影響は他の後発医薬品企業にも影響を及ぼしており、小林化工が経口抗真菌剤「イトラコナゾール錠50」を自主回収したため、科研製薬の同じ規格品が供給制限を余儀なくされている。

後発医薬品のイトラコナゾール錠は、小林化工とMeiji Seika ファルマが50/100/200を共同販売していたが、睡眠剤リルマザホン塩酸塩水和物が混入した50の一部ロットをクラスI、50のそれ以外のロットと100、200の全ロットをクラスIIで自主回収している。


ただし、今回の措置を受け需要が急増した科研製薬は同錠50について、今後の安定供給のため、出荷調整を実施。既存の取引先を優先し、新規は当面割り当てを実施する。


それ以外では、日医工が同錠50/100を販売しており、自主回収でも代替品として推奨された。
日医工は十分な在庫があるとして、供給制限は行わない。

また、イトラコナゾールの「カプセル50mg」を扱う沢井製薬や、「内用液1%」を持つファイザーも錠剤回収の影響は受けていないと言う。(日刊薬業)





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