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抗悪性腫瘍剤「ハラヴェン」が悪性軟部腫瘍の効能・ 効果の承認を取得

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エーザイ株式会社(本社:東京都文京区小石川)は2月29日、自社創製の抗がん剤「ハラヴェン®」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について、日本国内において新たに「悪性軟部腫瘍」の効能・ 効果の承認を取得したと発表しました。
「ハラヴェン」は、進行または再発の「悪性軟部腫瘍(脂肪肉腫または平滑筋肉腫)」を対象とした臨床第Ⅲ相試験において、全生存期間の有意な延長を示した唯一の薬剤です。

本剤は、日本において「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認され、2011年7月に発売され、これまでに日本、欧州、米国、アジアなど約60カ国で乳がんに係る適応で承認を取得しています。

「ハラヴェン」の悪性軟部腫瘍適応は、日本において「手術不能又は再発乳癌」に続き、統計学的に有意な全生存期間の延長が認められ「ハラヴェン」が取得した、2つ目の適応となる。


悪性軟部腫瘍剤ハラヴェン
抗悪性腫瘍剤「ハラヴェン®」


悪性軟部腫瘍は、身体の様々な軟部組織(脂肪、筋肉、神経、線維組織、血管など)で発生する悪性腫瘍の総称で、米国では約12,000人が、欧州では約29,000人が、毎年、悪性軟部腫瘍と診断されており、日本では、厚生労働省の患者調査によると患者数は約4,000人とされています。

悪性軟部腫瘍の発症頻度

悪性軟部腫瘍発症部位

悪性軟部腫瘍は、発生部位の組織が様々である事から、多彩な組織型が存在しますが、比較的頻度の高い組織型として、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫などが知られています。

悪性軟部腫瘍の治療は、根治的な外科切除術が中心で、悪性度が高い場合は、化学療法や放射線療法を組み合わせた治療がなされます。進行した場合、予後は不良となります。


悪性軟部肉腫1
悪性軟部肉腫2
悪性軟部肉腫3




今回新たに悪性軟部腫瘍の効能・ 効果の承認を取得した「ハラヴェン®」は、海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された「天然物ハリコンドリンB」の全合成類縁化合物で、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制する事で、細胞分裂の停止作用を有する、ハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。

kuroisokaimen okadai


 ※昨年9月に製造販売承認を取得した、悪性軟部腫瘍治療薬「ヨンデリス®点滴静注用0.25mg/1mg」も、ホヤの一種『エクテインアシジア・トゥルビナータ』から創製された薬剤(本稿掲載:http://ameblo.jp/aki-prism/entry-12096224509.html)で、こちらは染色体転座による遺伝子異常を有する悪性軟部腫瘍治療薬であった。
海洋生物からは、他にも抗悪性腫瘍剤の合成に成功している物もあり、今後の創薬に期待が広がる・・・。


加えて、従来の作用機序のほかに、最近の非臨床研究において、【1】腫瘍の血流循環を改善する事【2】乳がん細胞の上皮細胞化を誘導する事【3】乳がん細胞の転移能力を減少させる事 など、ユニークな特異作用を有する事が報告されています。


「ハラヴェン」の悪性軟部腫瘍に係る適応については、2016年1月に、米国で「アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む化学療法の前治療歴のある、手術不能または転移性の脂肪肉腫」の適応で承認を取得し、2016年2月に日本でも「悪性軟部腫瘍」の適応で承認を取得。
また欧州(EU)、スイス、ロシア、オーストラリア、ブラジルでは、現在申請中です。


EUハラヴェン


本剤は米国及び日本において、悪性軟部腫瘍に対する『希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)』の指定を受けています。


■ 製品概要(太字下線が今回の追加部分)
 1) 製品名:ハラヴェン®静注1mg
 2) 一般名:エリブリンメシル酸塩
 3) 効能・効果:手術不能又は再発乳癌、 悪性軟部腫瘍(今回新承認)
 4) 用法・用量:通常、成人には、エリブリンメシル酸塩として、1日1回1.4mg/㎡(体表面積)を2~5分間かけて、週1回、静脈内投与する。これを2週連続で行い、3週目は休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。尚、患者の状態により適宜減量する。





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