ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)が申請していた、「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能・効果として、新有効成分含有医薬品・抗悪性腫瘍剤「イムブルビカ®カプセル140mg(一般名=イブルチニブ,Imbruvica®=ibrutinib®)」が、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会・医薬品第二部会おいて了承され、3月28日製造販売承認を取得したと発表しました。
慢性リンパ性白血病(CLL)と小リンパ球性リンパ腫(SLL)は血液がんの一群で、白血球(リンパ球)の一種であるB細胞由来のB細胞性悪性腫瘍として知られている。慢性リンパ性白血病と小リンパ球性リンパ腫は、本質的に同一の疾患とされ、がん細胞の分布の違いにより分類されます。
がん細胞の大部分が血液中や骨髄(リンパ節や脾臓など)にあれば慢性リンパ性白血病、リンパ節に位置すれば小リンパ球性リンパ腫とされている。
慢性リンパ性白血病は、通常緩やかに進行する血液がんで、診断時年齢中央値は60~70歳以上、日本での発症率は、年間10万人に0.3人です。患者数は慢性リンパ性白血病が約1000人、小リンパ球性リンパ腫が約1600人と推定されている。
慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemia)は、患者数が少なく稀な腫瘍であり、未だに有効な治療法が確立されておらず、新規治療薬の開発が強く望まれる、治療分野における大きい領域の一つとなっている。
慢性リンパ性白血病治療薬としては、既に「マブキャンパス点滴静注」や「アーゼラ点滴静注」などがあり、本薬剤は再発・難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に対する治療選択肢の一つに加わる。
今回新たに承認を取得した「イブルチニブ(イムブルビカ®カプセル140mg)」は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTK-R)です。
ブルトン型チロシンキナーゼは、B細胞の成熟と生存を制御している、細胞内シグナル伝達に関与する重要なタンパク質で、悪性B細胞では、ブルトン型チロシンキナーゼを含むB細胞受容体シグナル伝達経路が過剰に活性化している。
腫瘍(癌)細胞は、細胞死を導く自然なシグナルを無視して増殖し、リンパ節組織などに移動、生着し、生存・増殖し続けます。
「イブルチニブ」は、ブルトン型チロシンキナーゼを特異的に標的とし、阻害するよう設計された作用機序の新規有効成分を有する薬剤で、「イブルチニブ」がブルトン型チロシンキナーゼ・タンパク質と強固な共有結合を形成し、悪性B細胞の過剰な細胞生存シグナルの伝達を抑え、リンパ節などにおける過剰な細胞増殖を阻止します。
本薬剤は、1日1回経口投与タイプの新規作用機序を有するブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(BTK-R)です。
製 品 名 : イムブルビカ®カプセル140mg
一 般 名 : イブルチニブ
剤 型 : カプセル剤
効能・効果 :再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
用法・用量 :通常、成人にはイブルチニブとして420mg(3カプセル)を1日1回経口投与する。尚、患者の状態により適宜減量する。
尚、本薬剤は海外では2015年12月現在、慢性リンパ性白血病の効能・効果で64カ国で承認済であるが、日本国内では2014年11月26日にヤンセンファーマ株式会社が製造販売承認を申請していた。