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クローン病治療薬インターロイキン抗体製剤「ステラーラ®」を承認申請

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ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区)は3月30日、乾癬の治療薬として販売している、ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤「ステラーラ®(一般名:ウステキヌマブ:遺伝子組み換え)」について、中等症から重症の活動期にある「クローン病」治療薬として追加承認申請を行った。

「クローン病」の治療は、寛解導入療法と維持療法に分かれ、「ステラーラ®」は寛解導入療法の治療薬として、新たに開発した点滴静注製剤と、既に国内で、尋常性乾癬および関節症性乾癬の治療薬として2011年1月に承認されている、「ステラーラ®皮下注45mgシリンジ」について、クローン病の維持療法に適応を追加する形で申請を行った。



乾癬治療薬ステラーラ


クローン病は、炎症性腸疾患の一つで、全世界に500万人以上、日本では4万人以上の患者がいるとされる。
10~30代の若年者に発症する事が多く、大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症又は潰瘍を引き起こす原因不明の疾患で、腹痛や下痢、血便、発熱、体重減少などが生じ、寛解・再燃を呈しながら慢性的に持続する疾患です。






「ステラーラ®」は、ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤であり、炎症性腸疾患に深く関わるIL(インターロイキン)-12/23を阻害する事により、消化管の炎症を抑制します。

クローン病の既存の治療薬では充分に効果が得られなかったり、効果が弱まったりする場合があり、作用機序の異なる新たな治療選択肢薬剤が求められていました。

クローン病


クローン病に対する「ステラーラ®」の有効性と安全性は、日本も参加した国際共同第III相試験で確認されました。これらの試験成績に基づき、米国および欧州では2015年11月に「中等症から重症の活動期にあるクローン病」の効能・効果の取得を目的とした承認申請を行いました。



何故、乾癬の治療薬がクローン病にも効果があるのか?

乾癬の発症メカニズムの詳しい原因は判っていませんが、症状の経過はクローン病と類似しています。
乾癬は、皮膚の外側の表皮の皮膚代謝が極端に早くなり、短期間で角化細胞が鱗屑となって剥がれ落ちます。この為、皮膚表面が赤く盛り上がって来て、炎症を起こし出血傾向を呈する。

正常な表皮細胞は28日サイクルで代謝していますが、乾癬の場合は4~5日と極めて短い新陳代謝が繰り返される為、常に赤く腫れ、炎症が続いている状態になっています。

クローン病の炎症は、大腸や小腸の粘膜に発症しますが、乾癬と同じように原因は不明ながら、寛解と増悪を繰り返す自己免疫疾患であると考えられています。




ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体とは

人の免疫反応に関する病気では、免疫反応を調節する蛋白物質の総称の、IL=インターロイキンが深く関与しており、これらから発するシグナルによって、免疫細胞のリンパ球やT細胞の分化が進む。
モノクローナル抗体製剤は、このシグナルをブロックする事で、過剰なサイトカイン(細胞から放出され、免疫作用・抗腫瘍作用を示すタンパク質の総称)を抑制する。

「ステラーラ®」は、IL-12とIL-23p40を標的に結合し、シグナル伝達を阻止します。



ステラーラ シリンジ


これまで様々な薬剤が登場しましたが、ヒト型抗ヒトIL(インターロイキン)-12/23p40モノクローナル抗体製剤は初めてとなります。
本薬剤が新たな治療選択肢として加わり、クローン病患者のQOL向上に貢献される事を期待します。






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