オリンパス株式会社(本社:東京都新宿区西新宿)は、超音波内視鏡を用いて行われる「超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)」に使われるディスポーザブル吸引生検針「EZ Shot 3 Plus」(イージーショットスリープラス)を、4月21日から国内で販売を開始した。
超音波内視鏡下穿刺(せんし)吸引術とは‥‥、口から超音波内視鏡を挿入し、直接内視鏡ではアクセス出来ない、膵臓、粘膜下腫瘍、リンパ節などに、内視鏡の先端から超音波を出し、粘膜下の状況を確認しながら、消化管壁を介して針を刺し(穿刺と言う)、患部の組織・細胞を吸引採取する検査方法である。
採取された組織は、顕微鏡などで良性か悪性かの病理診断を行い、治療方針を決める重要な手技である。
今回発売する「EZ Shot 3 Plus」は、従来の製品より超音波内視鏡の先端が、大きく湾曲した状態でも挿入しやすい設計を目指したと言う。
挿入部に、柔軟なコイルシースとナイチノール針を採用。これにより、内視鏡を大きく湾曲させても抵抗の少ない挿入をサポート。
また穿刺用の針管には、形状保持力と柔軟性の高いナイチノールを採用し、従来製よりも、急峻な角度でもスムーズな針の出し入れをサポートする。ナイチノールは弾性が高いため、優れた形状保持力を発揮。内視鏡の湾曲部を通過しても針が変形しにくく、耐久性を備えていると言う。
穿刺性についても、鋭利に加工された「メンギーニ形状」と言う針先を採用し、硬い組織でもスムーズに刺せる高い穿刺性を追求した。
また針先には、サイドホール有り、無しの両タイプを用意した。
手元の操作部は、滑りにくく使いやすいハンドル形状を採用。針の先端の表面の加工も改良し、超音波下の観察での針の見えやすさを追求している。
超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA=Endoscopic UltraSound-Fine Needle Aspiration)は、1990年初頭から欧米を中心に行われるようになった。国内では、2010年の保険収載を期に広く普及している検査法。
EUS-FNAで、より正確な診断を行う為には、狙った部位に穿刺出来る事が求められる。
しかし、膵臓がんで多く発生すると言われる膵頭部などへは、アプローチが難しく、目標部位から僅かに外れて組織を採取しないよう、内視鏡の先端を大きく湾曲させて行う場合がある。
そのため、湾曲状態の内視鏡の中でも少ない力で滑らかに動かせ、狙った位置へ滑らずに穿刺できる必要がある。
今回開発された「EZ Shot 3 Plus」は、それらのニーズに応えるために開発されたものだと述べている。
膵臓がんは、消化器がんの中で最も予後不良の癌です。
腫瘍マーカーでも、ある程度の腫瘍サイズにならないと高値にならず、早期診断が困難で、また極めて悪性度が高く、例えば2cm以下の小さな癌であっても、直ぐ周囲(血管、胆管、神経)への浸潤や、近くのリンパ節への転移、肝臓などへの遠隔転移を伴う事が多い。
膵臓がんの年間罹患数は約37,000人(部位別第7位)で、死亡者数は約28,000人(部位別第4位)と予後不良であり、早期発見が極めて重要となっている。
人間ドッグなどや、各自治体の集団検診で、胃カメラ検査の機会が増えている昨今、胃・十二指腸の検査と同時に、超音波内視鏡を併用した膵臓の検査を実施し、疑わしい症例をいち早く見つけられれば、早期診断や早期治療が可能になるのではないだろうか‥‥
更に改良が加えられる事を望む。
本デバイスの販売名は、『ディスポーザブル吸引生検針「NA-U200H」(愛称:EZ Shot 3 Plus:イージーショットスリープラス)』と言い、システム本体の「EU-ME2シリーズ」「GF-UCT260」と組み合わせて使用する。
尚、製造販売元はオリンパスメディカルシステムズ株式会社となる。