アレクシオンファーマ合同会社(本社:東京都渋谷区恵比寿)は3月29日、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)治療薬として、「カヌマ®点滴静注液20mg(一般名:セベリパーゼ アルファ〔遺伝子組換え〕)」の製造販売承認を取得したと発表した。
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)は、生命を脅かす遺伝性疾患で、常染色体の劣勢遺伝で生じる、急速又は慢性に進行する代謝性疾患です。
進行性の多臓器障害により、多くの重篤な症状が認められ、早期死亡に至る可能があります。
乳児の場合は、治療をしなければ疾患が急速に進行し、数ヵ月もしない内に死に至ります。乳児の生存期間の中央値は3.7ヵ月と極めて早いのが特徴です。
乳児期以降の発症では、他の肝臓疾患と同様、多くの患者で無症状のまま進行し、重症化します。その結果、肝組織の線維化、肝硬変、肝不全、アテローム性動脈硬化症が進み、心臓疾患やその他の深刻な疾患を含む、進行性の多臓器障害をもたらします。
乳児期を超えてから発症した場合、小児および成人の約50%が3年以内に、肝組織の線維化、肝硬変、肝移植に至っています。
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の発症年齢の中央値は5.8歳で、簡単な血液検査で診断が可能です。
ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)は、遺伝子変異により、ライソゾーム内にあるライソゾーム酵素やタンパク質の活性が低下、もしくは欠損していて、本来代謝されるべき老廃物質が分解されずに、ライソゾーム内に過剰に蓄積し、細胞の働きに進行性の多臓器障害をもたらす疾患です。
特に、体内の老廃物を分解する肝臓では、LAL-Dによって老廃物が蓄積し、肝臓組織の線維化、肝硬変、肝移植へと至る。
「カヌマ®点滴静注液20mg」は、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)の酵素補充療法に用いる世界で初めての治療薬で、LAL-Dの病態に深く関与する酵素を標的とし、体内組織のライソゾーム内におけるコレステロールエステル及びトリグリセリドの蓄積を減少させます。
国際共同試験では、乳児の患者において生存率の向上、小児及び大人の患者においては、肝機能ALTや肝臓の脂肪量の有意な減少、及び脂質パラメータの有意な改善が認められました。
臨床試験で認められた主な副作用は、腹痛、下痢、蕁麻疹、発熱、嘔吐、悪心、頻脈など。
尚、乳児に見られるライソゾーム酸性リパーゼ欠損症は「ウォルマン病」、小児及び成人に見られる場合は、「コレステロールエステル蓄積症(CESD)」と呼称されています。