2月26日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、国内初の前立腺癌の治療薬「ゾーフィゴ®静注(一般名・塩化ラジウム【223Ra】)」について、承認の可否を審議し、正式に製造販売を了承した。
これを受けて、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2016年5月18日に開催された総会で、本薬剤を含む新薬16成分27品目の薬価収載を了承──5月25日に収載された。
新たに製造販売承認を取得した「ゾーフィゴ®静注」は、バイエル薬品株式会社(本社:大阪市北区梅田)が製造販売する薬剤で、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品で、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対して抗腫瘍効果を発揮する。
前立腺癌は、世界の男性における癌の中で2番目に多く(1位は肺がん)、がん死亡例の約20%を占めています。
日本では人口10万人あたり28.6人が、1年間に前立腺癌と診断されており、患者数は急速に増加し、近い将来、胃がんを抜いて肺がん、大腸がんに次ぐ3番目に多い癌になると予想されている。(資料:国立研究開発法人 国立がん研究センター)
前立腺癌の原因は“遺伝子の異常”と考えられており、加齢と男性ホルモンの存在が影響しますが、未だに明確ではありません。その為、効果的な予防法も明らかではありません。
前立腺癌は、前立腺の外腺の腺上皮から発生する率が高く、初期には殆ど症状が無く、癌細胞が大きくなって尿道が圧迫されると、“尿が出にくい”、“尿の回数が多い”、“排尿後に尿が残った感じがする”、“夜間の尿の回数が多い”など、前立腺肥大症と同じ症状が現れます。
癌細胞が尿道、又は膀胱に広がると、排尿の時の痛み、尿もれや肉眼で分かる血尿が認められ、更に腫瘍が大きくなると尿が出なくなります(尿閉)。
精嚢腺に広がると、精液が赤くなる事があります。
更に進行すると、リンパ節や骨(脊椎や骨盤骨)に転移します。リンパ節に転移すると、下肢のむくみ、骨に転移すると痛みや下半身麻痺を起こす事があります。
好発しやすい年齢は、45歳以下では稀有で、50歳以降その頻度は増え、70代では10万人あたり約200人、80歳以上では300人以上になります。このように、前立腺癌は高齢者のがんであると言えます。
前立腺癌は早期(初期)では症状が無いので、腫瘍マーカーPSA検査(前立腺特異抗原検査)で早めに診断する事が大切です。PSA検査は血液検査だけの簡単な検査法ですので、“尿が出にくい”、“尿の回数が多い”、“排尿後に尿が残った感じがする”、“夜間の尿の回数が多い”といった症状が現れた際は、迷わず泌尿器科を受診する事をお勧めします。
前立腺は、男性ホルモン依存性の臓器であるため,前立腺癌の手術、又は放射線治療に続く薬物療法においては、内分泌療法(LH-RH作動薬+抗男性ホルモン薬)が第一選択となります。
男性ホルモンの分泌や作用を抑制する内分泌療法は、殆どの前立腺癌に対して効果を現しますが、数年後には抵抗性が生じ、この状態を去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼びます。
去勢抵抗性前立腺癌の患者のおよそ10人中9人(90%)が転移性骨転移を有し、身体障害や死亡のリスクを増加させるに至ります。
「ゾーフィゴ®静注」は、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品で、有効成分の『ラジウム-223』は、主にアルファ線を放出する放射性同位元素で、これはカルシウムと同様に、骨塩(ヒドロキシアパタイト)複合体を形成する事により、骨、特に骨転移巣を選択的に標的とする。
本剤を静脈内に注入すると、高LET(線エネルギー付与)放射線であるアルファ線は,腫瘍細胞の骨転移部位に集積して、高頻度でDNA二本鎖切断を誘発、強力な殺細胞効果をもたらす。又、アルファ線の飛程は100μm未満であるため、周辺正常組織へのダメージを最小限に抑える。
■効能・効果
骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌
■成分
1バイアル(5.6mL)中、塩化ラジウム(223Ra)としてラジウム223を6,160kBq(キロベクレル)含有
■用法・容量
成人には通常、1回に1キログラム当たり55キロベクレルを4週間間隔で6回まで、静脈内に注入する。
ゾーフィゴ®は、2013年にEU及び米国で発売以来、世界40カ国以上で使用されており、安全性と有効性が確認されている。
これを受けて、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)は2016年5月18日に開催された総会で、本薬剤を含む新薬16成分27品目の薬価収載を了承──5月25日に収載された。
新たに製造販売承認を取得した「ゾーフィゴ®静注」は、バイエル薬品株式会社(本社:大阪市北区梅田)が製造販売する薬剤で、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品で、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌に対して抗腫瘍効果を発揮する。
前立腺癌は、世界の男性における癌の中で2番目に多く(1位は肺がん)、がん死亡例の約20%を占めています。
日本では人口10万人あたり28.6人が、1年間に前立腺癌と診断されており、患者数は急速に増加し、近い将来、胃がんを抜いて肺がん、大腸がんに次ぐ3番目に多い癌になると予想されている。(資料:国立研究開発法人 国立がん研究センター)
前立腺癌の原因は“遺伝子の異常”と考えられており、加齢と男性ホルモンの存在が影響しますが、未だに明確ではありません。その為、効果的な予防法も明らかではありません。
前立腺癌は、前立腺の外腺の腺上皮から発生する率が高く、初期には殆ど症状が無く、癌細胞が大きくなって尿道が圧迫されると、“尿が出にくい”、“尿の回数が多い”、“排尿後に尿が残った感じがする”、“夜間の尿の回数が多い”など、前立腺肥大症と同じ症状が現れます。
癌細胞が尿道、又は膀胱に広がると、排尿の時の痛み、尿もれや肉眼で分かる血尿が認められ、更に腫瘍が大きくなると尿が出なくなります(尿閉)。
精嚢腺に広がると、精液が赤くなる事があります。
更に進行すると、リンパ節や骨(脊椎や骨盤骨)に転移します。リンパ節に転移すると、下肢のむくみ、骨に転移すると痛みや下半身麻痺を起こす事があります。
好発しやすい年齢は、45歳以下では稀有で、50歳以降その頻度は増え、70代では10万人あたり約200人、80歳以上では300人以上になります。このように、前立腺癌は高齢者のがんであると言えます。
前立腺癌は早期(初期)では症状が無いので、腫瘍マーカーPSA検査(前立腺特異抗原検査)で早めに診断する事が大切です。PSA検査は血液検査だけの簡単な検査法ですので、“尿が出にくい”、“尿の回数が多い”、“排尿後に尿が残った感じがする”、“夜間の尿の回数が多い”といった症状が現れた際は、迷わず泌尿器科を受診する事をお勧めします。
前立腺は、男性ホルモン依存性の臓器であるため,前立腺癌の手術、又は放射線治療に続く薬物療法においては、内分泌療法(LH-RH作動薬+抗男性ホルモン薬)が第一選択となります。
男性ホルモンの分泌や作用を抑制する内分泌療法は、殆どの前立腺癌に対して効果を現しますが、数年後には抵抗性が生じ、この状態を去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼びます。
去勢抵抗性前立腺癌の患者のおよそ10人中9人(90%)が転移性骨転移を有し、身体障害や死亡のリスクを増加させるに至ります。
「ゾーフィゴ®静注」は、日本で初めてのアルファ線を放出する放射性医薬品で、有効成分の『ラジウム-223』は、主にアルファ線を放出する放射性同位元素で、これはカルシウムと同様に、骨塩(ヒドロキシアパタイト)複合体を形成する事により、骨、特に骨転移巣を選択的に標的とする。
本剤を静脈内に注入すると、高LET(線エネルギー付与)放射線であるアルファ線は,腫瘍細胞の骨転移部位に集積して、高頻度でDNA二本鎖切断を誘発、強力な殺細胞効果をもたらす。又、アルファ線の飛程は100μm未満であるため、周辺正常組織へのダメージを最小限に抑える。
■効能・効果
骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌
■成分
1バイアル(5.6mL)中、塩化ラジウム(223Ra)としてラジウム223を6,160kBq(キロベクレル)含有
■用法・容量
成人には通常、1回に1キログラム当たり55キロベクレルを4週間間隔で6回まで、静脈内に注入する。
ゾーフィゴ®は、2013年にEU及び米国で発売以来、世界40カ国以上で使用されており、安全性と有効性が確認されている。