中外製薬株式会社(本社:東京都中央区)は5月23日、既に「手術不能又は再発乳癌、卵巣癌、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌、扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、悪性神経膠腫」に対する効能・効果として販売を行っている、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)抗悪性腫瘍剤──販売名『アバスチン®点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』について、厚生労働省より「進行又は再発の子宮頸癌」に対する効能・効果で、追加の製造販売承認を取得したと発表した。
本薬剤は、2015年9月14日に、「進行又は再発の子宮頸癌」を予定効能・効果として希少疾病用医薬品に指定され、優先審査を受けていた。
今回の追加承認取得は、海外で実施した第III相臨床試験(GOG-0240試験)、及び国内第II相臨床試験(JO29569試験)の成績に基づいており、「治療抵抗性、再発又は転移性子宮頸がん」の患者452人を対象として実施されました。
海外第III相臨床試験(GOG-0240試験)では、標準化学療法(“パクリタキセル”と“シスプラチン”、又は“パクリタキセル”と“ノギテカン”)単独群と、標準化学療法にプラス、「アバスチン」併用群の有効性と安全性を比較検討された。
その結果、アバスチン併用群では、主要評価項目である全生存期間の有意な延長が認められ、標準化学療法単独群に比べOS(全生存期間)中央値が3.9カ月延長し、統計学的に有意に死亡リスクが26%減少しました。
国内第II相臨床試験(JO29569試験)では、8名の患者が登録され、試験治療開始前に中止となった1例を除く7名の進行・再発子宮頸がん患者において、「アバスチン」と「パクリタキセル」及び「シスプラチン」併用時の忍容性、安全性を検討した。
その結果、併用療法で忍容性が確認されると共に、安全性については問題となる有害事象は認められませんでした。
「アバスチン®」は、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とした抗VEGFヒト化モノクローナル抗体である。
血管内皮増殖因子(VEGF)と結合し、VEGFの受容体への結合を阻害する事で、血管新生を抑制し、癌細胞への栄養供給を遮断、その結果として腫瘍の増殖を抑制する。
▲国立がん研究センター がん対策情報センターがん統計研究部の祖父江友孝氏、同・雑賀公美子氏、大阪府立成人病センター がん予防情報センター企画調査課の井岡亜希子氏、同・津熊秀明センター長、山口大学医学部地域医療推進学講座の福田吉治氏ら、15名共著書『がん・統計白書2012』によると、
日本において子宮頸がんの新規罹患患者数は年々増加しており、2015から2019年の年間平均新規罹患患者数は10,600人と推計されている。今後3年間で、更に、31,800人の新規子宮頸がん患者が増えると予想される。
食生活が欧米化する事で、日本人全体の免疫能力や、腫瘍阻止能力を持つ、がん抑制遺伝子の活動が低下しつつあると考えられる。
食生活が豊かになると、癌患者が増える────と言う何んとも皮肉な結果になってしまっている。
「アバスチン」は、欧州では進行期乳癌、大腸癌、非小細胞肺癌、腎癌、卵巣癌、子宮頸癌の適応で──、米国では大腸癌、非小細胞肺癌、腎癌、再発膠芽腫、子宮頸癌、再発卵巣癌の適応症で承認を受けている。
尚、アバスチンの子宮頸がんに係る効能・効果は、欧米をはじめとする67の国と地域(2016年1月末現在)において承認されています。
追加された効能・効果
【販売名】:アバスチン®点滴静注用100mg/4mL, アバスチン®点滴静注用400mg/16mL
【一般名】:ベバシズマブ(遺伝子組換え)
【効能・効果、用法・用量】:進行又は再発の子宮頸癌;
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回15mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は3週間以上とする。
(参考)手術不能又は再発乳癌
パクリタキセルとの併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を点滴静脈内注射する。投与間隔は2週間以上とする。
中外製薬は、「アバスチンが、治療選択肢が限られ、過去10年間治療成績の進展が見られなかった進行又は再発の子宮頸癌の患者さんの治療に福音をもたらす事を期待しています」とのコメントを発表した。