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日本初、経口抗凝固薬特異的中和剤「プリズバインド®静注液」が製造販売取得

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日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区大崎)は9月28日、直接トロンビン阻害剤プラザキサ®(ダビガトラン)の特異的中和剤「プリズバインド®静注液2.5g〈一般名:イダルシズマブ(遺伝子組換え)製剤〉」の製造販売承認を取得したと発表した。

直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は、日本初となる。



プリズバインド静注液2.5g_EMA名Praxbind
DOAC特異的中和剤イダルシズマブ製剤「プリズバインド®静注液2.5g」
EMA:欧州医薬品庁承認名「Praxbind®(Idarucizumab®)」


「プリズバインド®」は、頻度は非常に低いものの、経口抗凝固薬「プラザキサ」を服用中に、生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時や、重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時において、ダビガトラン製剤(プラザキサ)の抗凝固作用を迅速に中和する必要がある場合に使用される。


経口抗凝固薬「プラザキサ」は、 血栓(血の塊り)が出来にくい状態にする抗凝固薬で、心房細動(突発的な不整脈)患者における脳卒中発症抑制を適応とする薬剤で、肺塞栓症、静脈塞栓症、心筋梗塞、脳血栓なども含まれます。

血栓防止には、これまでは長年、標準抗凝固薬の「ワルファリン」が使われて来ましたが、定期的な血液検査が必要な事や、ビタミンKを含む食物(納豆など)との相互作用があり、食事に注意が必要などの制約があった。


ワルファリンとプラザキサの比較

これに対して「プラザキサ」は、定期的な血液検査や納豆などの摂取を制限しなくても良い薬剤として、約50年ぶりに登場した新薬でしたが、「ワルファリン」から「プラザキサ」に切り替えて服用する患者が増えるに伴い、「プラザキサ」を服用中に、血痰や鼻血、肺出血、消化管出血など、全身から大量の出血を来たし、呼吸不全で死亡する事例が複数発生しました。



血小板凝集・血管壁を修復
本来、血液凝固は血管の損傷部位に血小板が凝集して、傷を塞ぐのだが、この凝集が心臓や脳の血管で起こると、血液の流れが滞り、血栓となって血管を塞ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすくなる。
このような傾向の患者に対して、凝集・凝血を抑制するのが抗凝固薬である。



こうした事から、『生命を脅かす出血、又は、止血困難な出血の発現時や、重大な出血が予想される緊急を要する手術、又は処置の施行時において、「プラザキサ(ダビガトラン製剤)」の抗凝固作用を、迅速に中和する薬剤の必要に迫られていました。


イダルシズマブの作用機序

DOAC特異的中和剤「プリズバインド®」は、ヒト化抗体断片化で、血液凝固阻止剤「プラザキサ」の成分であるダビガトランに特異的に結合し、凝固カスケード(連鎖反応)を妨げる事なく抗凝固作用を中和します。

今回、国内で初めて承認された「プリズバインド®静注液2.5g」は、ドイツに本社を置く、ベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim)社の研究者らによって創薬・開発され、その研究プログラムは、経口抗凝固薬「プラザキサ」が日本で製造販売承認を取得した2011年より前の、2009年に開始された。
米国、欧州、カナダでは2015年に「Praxbind®」の製品名で承認を取得している。

尚、日本での本剤の対象患者数は推定100人/年間だと言う。
本中和剤の登場で、抗凝固薬「プラザキサ」を服用している患者が、大きな外科手術や帝王切開などで大量出血した場合でも、迅速に抗凝固作用を中和し、止血処置が可能となると期待される。



【承認内容の概要】
【販売名】:プリズバインド®静注液2.5g
【一般名】:イダルシズマブ(遺伝子組換え)製剤

【効能・効果】:以下の状況におけるダビガトランの抗凝固作用の中和
 ◎生命を脅かす出血又は止血困難な出血の発現時
 ◎重大な出血が予想される緊急を要する手術又は処置の施行時

【用法・用量】:通常、成人にはイダルシズマブ(遺伝子組換え)として1回5g(1バイアル2.5g/50mLを2バイアル)を点滴静注又は急速静注する。但し、点滴静注の場合は1バイアルにつき5~10分かけて投与する事。

【医】:新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。






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