歯のインプラント(人工歯根埋込み)治療は、歯周病や歯槽膿漏、歯髄炎などで歯を失った人の顎の骨に金属を埋め込み、人工の歯を固定する治療法で、顎の骨に、直接穴を開け、天然歯の代わりにチタン製などの人工歯根(金属)を埋め込み、その上に人工の歯を作製し取り付ける外科的治療方法です。
日本で信頼性の高いインプラント治療が本格的に導入されたのは、1983年の事。
しかし任意治療と言う事もあり、当初はあまり普及しませんでした。
インプラント治療は、健康保険が適用されない為、1本の歯に付き30万円~40万円ほどを患者本人が負担しなければなりません。
しかしその後、インプラント治療を行う病院が増えた事と、入れ歯よりも見た目が自然で、自分の歯に近い感覚が得られるなどとして、希望する人が増え、国内では約300万人が治療を受けたと見られています。
この中で、治療した部分の周りに細菌が感染して炎症が起き、金属を埋め込んだ骨が溶ける「インプラント周囲炎」と言う病気になる人が増え、日本歯周病学会が全国の実態を初めて調査しました。
治療後、3年以上たった267人を調べた所、9.7%の人が、細菌に感染する事で顎の骨が溶ける歯根嚢胞や歯周病などの「インプラント周囲炎」に罹っていて、更に、この病気になる前段階の歯肉炎症が起きた人を含めると、43%に上ると言う事が分かりました。
治療後には、周辺の組織に細菌が感染して炎症が起き、金属を埋め込んだ骨が溶ける「インプラント周囲炎」と言う病気になる事があり、専門家は、『この病気を防ぐため、定期的に検診を受け、必要に応じて専門的な処置を受ける事が重要だ』と、指摘しています。
また専門医は、『インプラント治療で取り付けた人工歯根は、何もしなくても長持ちすると誤解している患者は多い。インプラント周囲炎になると進行が非常に早く、自覚症状も少ないので、気がつくと深刻な状態になっている事も多い。メンテナンスが重要な事を十分理解して欲しい』と話しています。
結局、口の中は食事や会話、飲み物など常に空気に触れている場所。
それだけ酸化が進み、汚れが繁殖し易いと言うのは、インプラント治療後も何ら変わらないと言う事の一語に尽きます。