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新規乳がん治療薬「パルボシクリブ」の国内製造販売承認を申請

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ファイザー株式会社(本社:東京都渋谷区)は10月31日、「手術不能又は再発乳癌」の効能・効果で、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬「パルボシクリブ(開発番号:PD-0332991)」の、国内における製造販売承認を申請したと発表した。

「パルボシクリブ(palbociclib)」は、世界初の経口CDK4/6阻害薬で、米国をはじめ世界20カ国以上で承認されており、米国食品医薬品局(FDA)により、2013年4月にブレイクスルー・セラピー(breakthrough therapy=画期的治療薬)の指定を受け、2015年2月に迅速承認されました。


米国ではIBRANCE®の製品名で、これまでに4万人以上の患者に使用されている。


パルボシクリブ_IBRANCE
「パルボシクリブ(IBRANCE®)」


乳がんは、世界において女性の罹患率が第一位の癌種で、2012年、全世界で約170万人が新たに乳がんを発症し、日本に於いては、乳がんの年間罹患数は約7万4000人(2012年)で、女性の部位別罹患数として第1位となっています。

乳がんの年間死亡者数は、1万3000人を超えています(2014年・国立がん研究センターがん情報サービス統計)。


米国5年生存率
米国での5年生存率(National cancer institute)

初診断時に転移がある場合、5年生存率は26.3%と予後は大変厳しい状況です(National cancer institute)。
転移が無い場合でも、原発巣に対する根治的治療後に、推定20~30%の割合で転移・再発が見られ、転移・再発乳がんは、切除可能な局所再発を除いて、治癒は極めて困難です(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2015年版)。

日本での平均5年生存率
日本での5年生存率(1994~2006年統計値)

日本での平均5年生存率1
日本での5年生存率(2003~2008年統計値)

乳がん患者の5年生存率は、統計数値の取り方で変わる為、日本では元々患者数が少なった事もあり、現在では治療成績も幾分向上しています。
しかし同時に患者数が増えている事、又再発・転移性乳がんの患者が増えている事で、5年生存率の足踏みが続いている。

そして転移・再発乳がんの化学療法後の10年生存率は、僅か5%となっています(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン2015年版)。




デンスブレスト高濃度乳腺

日本人には乳腺密度が高い「デンスブレスト」の女性が多く、マンモグラフィで癌を検出するのが困難なケースが多い。
乳腺は、周囲の脂肪組織と比べてX線の透過性が低く白く映り、「癌」も白く映るため、マンモグラフィ写真では区別するのが困難な事が要因となっている。

しかし米国と同じように、高濃度乳腺の女性を対象に超音波検診を併用するのか、意見はまとまっていない。




今回申請を行った「パルボシクリブ(palbociclib)」は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6を阻害する新規の経口分子標的薬です。

CDK4/6阻害薬
RB proteinは網膜芽細胞腫タンパク質と言い、癌抑制遺伝子(タンパク質)の事。

CDK4/CDK6は、細胞周期の調節に主要な役割を果たしている、細胞増殖を引き起こすタンパク質複合体で、「パルボシクリブ」はCDK4/CDK6を選択的に阻害して、細胞周期の進行を停止させる事により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。



日本も参加した2つの国際共同第3相試験(韓国と台湾も参加)、および海外/国内第2相試験の結果、「パルボシクリブ」は進行乳がんに対して内分泌療法との併用で臨床的に意義のある有効性が認められ、これらの結果を取りまとめ、今回の申請に至ったと言う。


本剤の米国における適応症は、「HR+HER2-閉経後進行、又は転移乳がんに対する初回内分泌療法(レトロゾールとの併用)」「内分泌療法により疾患が進行したHR+HER2-進行、又は転移乳がん(閉経の有無を問わない)に対する治療(フルベストラントとの併用)」。


米国5年生存率

この新規CDK4/6阻害薬「パルボシクリブ(palbociclib)」が、米FDAで承認を取得したのは2015年2月3日。
アジア人と米国人で、乳がん好発年齢に差があるものの、これまでのmTOR阻害薬(アフィニトール)と比べ、口内炎がひどく出たり、間質性肺炎などの自覚症状的な副作用が少ない利点がある。


レトロゾール、フルベストラントいずれの併用についても、全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)や米国臨床腫瘍学会(ASCO)など、種々のガイドラインにおいて推奨されている。

欧州医薬品庁(EMA)には、2015年8月に承認申請、2016年9月にEMAの医薬品委員会(CHMP)により、「HR+HER2-局所進行、又は転移乳がん(アロマターゼ阻害薬との併用又は内分泌療法を受けた患者ではフルベストラントとの併用)」を適応症として、承認勧告を受けている。







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